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「あー、見て見て、あそこ。」
結局、一緒にリフトに乗っている僕たち。
まぁ、もともと一緒に乗るつもりだったけど。
Aがストックで指している方を見下ろせば、
「なんか、あそこだけ、端っこに仕切りがされてないの。
…落ちないように気をつけてね。」
たしかに、コースの両端にあるはずのオレンジの仕切りが1部分だけ途切れていて、すぐ横の森(？)みたいな場所に繋がっていた。
あっちに進むと危ないのは僕も知っている。
雪の下にほんとに道があるか…
もしかしたら、落とし穴みたくなってるかもしれないから。
「Aこそ。
僕ばっかり見て、落ちないように、気を付けてね。」
「…たしかに笑笑。」
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その後、2回、一緒に滑って。
Aのあとを付いて滑ってたら、なんだか、上手くなったような気がした。
まぁ、その。
男としては、わかんないよう、っていう可愛い彼女に手取り足取り教えてあげたい、っていう理想がないわけではないけど。
僕にスキーを教えてくれたのは、Aだし。
Aだって、どこかの、雪焼けで小麦色をした肌に、笑うと覗く白い歯が似合うような、몸짱(モムチャン)に手取り足取り教えてもらったわけではないし。
江原道で母方のお祖父さんとお祖母さんが小さなスキー場を経営していたから、スイスイ滑れるってだけだし。
もっとも、そのスキー場は継ぐ人がいなくて、Aが高校生のときに、なくなってしまったらしいけど。
まぁ、長くなったけどさ。
つまりは。
男としてのプライドは無いの？って聞かれたら、そりゃあ、あるよ、って答えなんだけど、
Aのこと、ここまで分かった上で付き合えてるのは、僕だけなんじゃない？って思ってるから、プライドは保たれてるってわけ。
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作者名：mawol | 作成日時：2022年2月17日 2時
