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何分間、抱き締めあったままで居ただろうか。
とっくにわたしも彼の背中に腕を回していて、そのまま左右交互に足を上げ、重心を移して揺れる彼に合わせて、わたしも揺れた。
「…会いたかった。」
「…わたしも。」
「…ホントに、会いたかった。」
「…わたしも。」
「…会いたすぎて、おかしくなるかと思った。」
「…わ、」
わたしも、と言おうとしたら、急に体が離れた。
え、と思って彼を見上げると、目を細めてわたしを見下ろしている。
その、獲物を捕らえたネコ科の動物のような目の奥の光には、1年ぶりだけど、本能的に覚えているものがあって。
心臓がドクン、と跳ね、お腹の底がゾクゾクした。
何かを期待して、目を閉じた。
…のに。
一瞬だけ、ほんの一瞬だけ、唇に圧力を感じ、目を開くと、
「んふふ。…ただいま。」
満足そうにもう一度そう言って、新生児微笑を想起させるくらいに柔らかく、彼が微笑んだ。
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「…なんで教えてくれなかったの？」
家までの道を、今度こそ、指を絡めて繋いだ手をぶんぶんと振りながら歩く。
「え？言ってなかったっけ？」
ごめんごめん、忘れてたぁ、と悪びれもせず開き直る彼に、
「はぁ？意味わかんない！なんで忘れられるの？」
相変わらず、沸点低めのわたし。
キレて、つい手を離しそうになるけど、そこは、しっかりとテンが握ってくれてるから、やっぱりわたしにはこの人しかいないんだと思う。
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作者名：mawol | 作成日時：2022年2月17日 2時
