トップアイドルへの道～KH～ (ページ2)

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１話ページ2

ーーー君、韓国でトップアイドルを目指してみないかい？

最初は冗談だと思った。だってここは日本、福岡の韓国料理屋なんだから。

事の始まりはとても簡単。福岡の某ドーム近くの韓国料理屋でバイトをしていた俺は今日もドームでライブか～、と思いつつ、専門学校での勉学を終え出勤していた。俺の夢は声優になることで、地元は熊本。本当は東京に出て声優学校に行きたかったが、家はそんなお金の余裕もなく福岡までならなんとか、といった具合で福岡の声優専門学校に進学。学費が馬鹿にならないためここでバイトをしながら勉強している。この韓国料理屋を選んだ理由は家から近いからってのもあるけど、ドームに近くて時給もそこそこいいから。ドームから微かにだが漏れる音に耳を傾けながら仕事している。
なんか外が騒がしいなと思ったらライブは終わったようで、帰路に着く客で賑わっていた。ライブ直後は客が入りやすいため厨房もホールも気合いが入る。

｢いらっしゃいませ！｣
今日のお客さんたちは女性が多い。男性アイドルかなにかの公演だったようだ。直後は客が入りやすいとはいえ、多くないか？ドーム周辺にはかなりの数の飲食店がある。だが、韓国料理屋はうちだけみたいなのだ。
｢今日のライブ最高だったね～
！｣
｢ウネと兄さんが神ビジュアルだったわ。ヘアメイクさんグッジョブ！！｣
女性客の会話から聞こえる限り、ウネ？兄さん？って人達がライブしてたみたいだ。

客足も一段落し、お客さんが、少なくなった頃男性客が入ってきた。
｢すいません、13人なんですけど空いてますか？｣
結構遅い時間にも関わらず、帽子にサングラスをかけた客が俺に話しかけてきた。
｢ええ、団体様でしたら個室が空いておりますよ。｣
｢じゃあ、そこ行ってもいいですか？｣
少し片言ぎみの彼は空いてると聞き、連れを呼びにいったみたいだ。
ガチャ、チリンチリン
扉が開き扉に設置された鈴が鳴る。
｢いらっしゃいませ！｣
するとぞろぞろとお客さんが入ってくる。13人すべて男性で会話から察するに韓国人だろう。個室に案内しメニューとお冷やを置けばホールに戻る。店の有線から流れ出したのは聞いたこたのない韓国語アップテンポの曲で何故か今来た客との運命を感じた。