08．時が過ぎるのは早いもの ページ8
(本当に、あれから色々あったなぁ)
この世界の両親を亡くしたあの日からもう十年経ち、私は25歳になり、主人で親友のアイラは20歳になった。
アイラの可愛さは年を追うごとに洗練されて、国内だけでなく国外からも"お茶会"と称したお誘いが絶えない。それに対して彼女は一度も応えたことはないけどね。
そんな主人の傍に仕える私は、胸元まであった髪をバッサリと切りショートにして、常に堅苦しい軍服を着た女らしさの欠片もない格好で過ごしている。そのおかげで多少の牽制になるらしく、外出する時に変な輩に絡まれることは一切なかった。
(逆に言えば、誰からも怖がられてるんだけどね)
両親が亡くなると行き場のなかった私をウィリッシュ家が引き取ってくださり、そのまま護衛騎士としての修行が始まった。ある程度分かっていたけれど、やっぱり実践は違った。
この国の中枢を担っていると言ってもいいウィリッシュ家のお嬢様を誘拐しようと企む輩への対策や、戦略的または嫉妬により行われる毒物の混流があるかの調査など。
気を抜けばその瞬間終わることばかりで最初の頃はノイローゼになりそうだった。
それでも、二人っきりになると屈託ない笑顔で笑いかけてくれる彼女がいたから頑張ってこれた。
「A、今日の予定は？」
「昼前には終わらせなくてはならない書類が少々、午後からはジイド大佐がお見えになります」
名前を聞いたアイラは顔を曇らせた。
「なにか、有力な情報があればいいのだけど」
二人っきりの部屋にその声は嫌に響いた。
実は私の両親が亡くなったあの事件は未だに犯人が見つかっていない。アイラとも協力して調べていく内にいくつもの不審な点は見つけたけれど決定的なものは何も見つかっていない。
最近になってその頃の軍部に怪しい動きがあったことを知り、長年この国の軍に属していて信頼の置けるジイド大佐に来てもらうのが今日だった。
「今は待ちましょう」
机の上にアイラが好きな、砂糖を一匙入れた珈琲を置く。
「ありがとう……よし！早く終わらせなくちゃ」
アイラが見ている書類の大半は彼女を蹴落とそうとする輩が押し付けてきた物ばかりだ。
今のウィリッシュ家はアイラの父である先代当主が亡くなり、新たにアイラの義理の兄であるギリアン・ウィリッシュが当主となってからこの家は変わってしまった。当主であるギリアンは自分より優秀なアイラのことを毛嫌いしているらしく、家の人間はそんな当主の考えに傾倒してしまっている。
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ニコ(プロフ) - 白夜（ハクグン）さん» 温かいお言葉をありがとうございます!!おかげで創作意欲が取り戻せましたw無理をしない範囲で物語を進めていきますのでお楽しみに。 (2020年11月14日 16時) (
レス) id: 531ac8166f (このIDを非表示/違反報告)
白夜（ハクグン）(プロフ) - 初コメ失礼します！騎士さんとお嬢様が大好きすぎてもう、、、すごく読んでて楽しい作品です！応援します！あ、これからも、です！最近色々問題が多いので、お体にも気をつけて、、、無理せず頑張ってください！ (2020年11月13日 12時) (レス) id: d2ad143a92 (このIDを非表示/違反報告)
ニコ(プロフ) - Ｒ_さん» ありがとうございます！そう言って下さる方がいるだけで頑張れます……！最後までニヤニヤ出来る作品を目指しますw (2020年5月18日 9時) (レス) id: 531ac8166f (このIDを非表示/違反報告)
Ｒ_ - 初コメ失礼します！！ とても面白くてニヤニヤしながら拝見させて頂いています(((変質者))) この作品大好きっす…！ 応援してます…！！ 更新、無理しない程度に頑張ってください…！ (2020年5月18日 1時) (レス) id: 882f22aeaa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ニコ | 作成日時：2020年4月13日 23時
