42．隠す気のない真実 ページ42
「で、一体どういう事か。説明してもらえるかね、ん？」
最初にここへ来た時と同じ状況。
違う所は、軍医の彼が居なくて、アイラが座っていて、彼女の対面に座る総統がやけに威圧的だという事だ。
「そうね……どこから説明しましょうか？」
「……あの男は何者なんや？」
警戒よりも戸惑いの方が強い質問をトントンさんがしてきた。
「牢に入れて頂いた彼はＤ国の現政府に忠誠を立てている軍人でしょう」
「そいつがアンタを殺そうとしたって事は、アンタらは反逆者って事か」
「Ｄ国の軍人であるジイド大佐と共に私たちは自国で革命を起こそうとしていました。それが相手に伝わってしまったのでしょう」
「その大佐の部下だと偽って、2人が油断したら始末するつもりだったと」
「もしくは、はっきりと言葉にさせて容疑を確定させたかったのかもしれません」
「は？どうやって？」
「実は彼、盗聴器を持っていたんです」
ニコニコと楽しそうに種明かしをしていく彼女に、トントンさん含めた全員が目を丸くした。
「いや、そんなもんどこにも」
「Aが蹴った時に壊しました」
「はぁ！？」
「Ｄ国では皮膚に埋め込めるよう改良された物が普及しているんです」
「いやいや、そういうんやなくて」
「なんで分かったんや！？ 」
アイラから何故か期待の籠った眼差しで見られて、渋々、答える。
「……多少でも異物を埋め込まれていますから、変な癖が生まれやすいんです」
「はぇー……よう分かるなぁ」
「つまり、その盗聴器でお2人が謀反を企てていたという証言が聴ければ、その場で始末出来なくても国から何かしらの対処がなされていた、という所でしょうか？」
静かに聞いていたエーミールさんの言葉にアイラが頷く。
「あそこでの会話は全て聴かれていたでしょうが、彼を偽りの軍人という事にすればどうにかなるでしょう」
「なんで、そこまで話してくれるん？」
薄らとエメラルドグリーンの瞳を覗かせるオスマンさんからは、一つの嘘も許してくれなさそうだ。
「全てお話しようと思ったからです」
しかし、それに怯む彼女ではない。
「Ｗ国に来てから調査はしていましたが、それは国の為ではなく単純に私の知識欲です。私たちはずっと、知らせが来るのを待っていました」
「何のや？」
「10年前にAの両親を殺害した者と、数年前に我が父を謀殺した者の情報です」
普段の穏やかな雰囲気が消えて険しい表情のアイラに、私は、無意識にリボンをつけた刀を撫でる。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 973人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ニコ(プロフ) - 白夜（ハクグン）さん» 温かいお言葉をありがとうございます!!おかげで創作意欲が取り戻せましたw無理をしない範囲で物語を進めていきますのでお楽しみに。 (2020年11月14日 16時) (
レス) id: 531ac8166f (このIDを非表示/違反報告)
白夜（ハクグン）(プロフ) - 初コメ失礼します！騎士さんとお嬢様が大好きすぎてもう、、、すごく読んでて楽しい作品です！応援します！あ、これからも、です！最近色々問題が多いので、お体にも気をつけて、、、無理せず頑張ってください！ (2020年11月13日 12時) (レス) id: d2ad143a92 (このIDを非表示/違反報告)
ニコ(プロフ) - Ｒ_さん» ありがとうございます！そう言って下さる方がいるだけで頑張れます……！最後までニヤニヤ出来る作品を目指しますw (2020年5月18日 9時) (レス) id: 531ac8166f (このIDを非表示/違反報告)
Ｒ_ - 初コメ失礼します！！ とても面白くてニヤニヤしながら拝見させて頂いています(((変質者))) この作品大好きっす…！ 応援してます…！！ 更新、無理しない程度に頑張ってください…！ (2020年5月18日 1時) (レス) id: 882f22aeaa (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ニコ | 作成日時：2020年4月13日 23時
