34．言いくるめの成功率 ページ34
「うん、これは暫く安静だね」
医務室に着くとすぐに軍医のしんぺい神さんによる診察が始まり、事情の説明が終わると同時にそう告げられた。
「安静、ですか」
「幸い骨とか神経に異常は無いんだけど、思いっ切り当たっちゃったから内出血が結構酷い。だから、これが治るまで激しい運動は絶対に駄目だよ」
(マジか)
護衛騎士としてあるまじき失態に頭を抱えていると、付き添い人が頭を下げた。
「ホンマにすまん」
「え、」
「俺の所為でそんな怪我させてもうて、仕事やって出来へんやろ」
「それは……」
深刻に謝罪してくれるシャオロンさんに対して、言葉が詰まってしまう。
言っている事はその通りなのだが、私としてはここまで運んでくれた事でそれは帳消しになっている。
どうしたものかと悩んでいると、思わぬ所から発言が聞こえた。
「だったら、代わりにやってあげれば？」
"神"と書かれた雑面から軽やかに発せられた言葉に一瞬、時が止まった。
聞き返そうとした私とシャオロンさんが動く前に、可愛くも凛とした声が耳に届いた。
「それは良いですね。今の状態では護衛はままならないでしょうし、シャオロン様でしたら私も安心出来ます」
「お嬢様、」
「貴女の事ですから自室で療養するのでしょう？それならすぐに駆け付けられるわね」
「ほんなら僕がグルッペンに連絡しとくわ。シャオロンは彼女たちを部屋に送ったり」
アイラの有無を言わさぬ口撃と流れるように必要な薬を渡して退出を促すしんぺい神さんにより、私たちは何も言えないまま医務室を出た。
「なんやよう分からんけど、護衛すればええん？」
「はい。よろしくお願い致します」
それから2人で仕事内容の確認をしているのを、おぶわれながら只々聞いていく。
(もうなるようになれ)
どこか悟りを開いた心境で部屋まで運ばれる。
この国に来てもう見慣れた部屋に入り、ベッドへ下ろしてもらうと、薬を傍にあるテーブルへ置いたアイラが私へと顔を向けた。
(さて、怖いのはこれからだ)
「A、私が言いたい事、分かるわね？」
怒りを全面にのせた声音に、私ではなくシャオロンさんが顔を強ばらせた。
「何の事でございましょう」
「白々しいわ。貴女、怪我をする前提で私を守ったでしょう？しかし想定より酷い怪我を負ってしまった」
「……申し訳ありません」
「貴女が身を呈して私を守ってくれるのは有難いです。けど、自らを犠牲にするやり方は好きではないわ」
その瞳に、胸が軋んだ。
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ニコ(プロフ) - 白夜（ハクグン）さん» 温かいお言葉をありがとうございます!!おかげで創作意欲が取り戻せましたw無理をしない範囲で物語を進めていきますのでお楽しみに。 (2020年11月14日 16時) (
レス) id: 531ac8166f (このIDを非表示/違反報告)
白夜（ハクグン）(プロフ) - 初コメ失礼します！騎士さんとお嬢様が大好きすぎてもう、、、すごく読んでて楽しい作品です！応援します！あ、これからも、です！最近色々問題が多いので、お体にも気をつけて、、、無理せず頑張ってください！ (2020年11月13日 12時) (レス) id: d2ad143a92 (このIDを非表示/違反報告)
ニコ(プロフ) - Ｒ_さん» ありがとうございます！そう言って下さる方がいるだけで頑張れます……！最後までニヤニヤ出来る作品を目指しますw (2020年5月18日 9時) (レス) id: 531ac8166f (このIDを非表示/違反報告)
Ｒ_ - 初コメ失礼します！！ とても面白くてニヤニヤしながら拝見させて頂いています(((変質者))) この作品大好きっす…！ 応援してます…！！ 更新、無理しない程度に頑張ってください…！ (2020年5月18日 1時) (レス) id: 882f22aeaa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ニコ | 作成日時：2020年4月13日 23時
