28．始まったばかり ページ28
こちらの死角から急に現れたり、足技などを使った攻撃など。素早さを生かしてこちらを翻弄するトリッキーな動きについていくのがやっとだ。
だけれど、やられっぱなしになる訳にはいかない。
背後からきた一撃を躱して、ナイフを持つその腕を掴んで引っ張って投げる。
「ぅお、おお！？」
どうにか受身をとったのを見て、完全に立ち上がる前に走り寄り、片膝をついた状態のゾムさんへナイフではなく回し蹴りをする。
中途半端な体勢で受け止めたことで僅かによろめいたのを見て、逆回転して今度は蹴り倒す。
「ぐっ！」
倒れ込んだゾムさんを押し倒す形でのしかかり、ナイフを首に押しつける。
と、同時に私の首元にも何かがあてられる。
その時、好戦的に光る若葉色の宝石が見えた。
「しゅーりょー」
オスマンさんの緩い終わりの合図で体から力を抜く。
ゾムさんの上から退くと、元気そうな声で不満を訴え始めた。
「えー、なんで止めたん？まだやれるで」
「諦め悪いでゾムw」
「なんやと」
「お疲れ様、A。今度は引き分けね」
「不甲斐ない結果で、申し訳ありません」
またも水を私に来てくれたアイラに、私は頭を垂れた。
「そんなことは無いわ。だって私、Aの動きに思わず見蕩れちゃって勝敗なんて気にしてなかったもの」
あっけらかんと言う彼女の様子に苦笑いする。
その反応は分かりきっていたけれど、個人的にはもっと鍛えないと不味い気がしてきた。
このままでは護衛騎士の名が泣く。
密かな決意を心の中でしていると、不貞腐れた顔のゾムさんが近付いてきた。
「しゃーないから今日はここまでや……けど！次はきっちり決着つけるからな！」
「分かった。次を楽しみにしてるよ」
人にビシッと指を指した状態でゾムさんが固まった。
そこから先程までの俊敏さが無くなり、ゆっくりとした動きで聞いてきた。
「え、え？な、なんで敬語じゃ……え？」
「嫌だったら戻しますが？」
「そのままでええ！！」
(うるさ)
フードで多少分かりづらいが、段々と私の言っていた事を理解して最終的に嬉しさを全面に出しているのが雰囲気で伝わる。
「こ、こ、これから、よろしくな！！」
「あぁ、よろしく」
時々で構わないから、今回みたいな手合わせをまたしてもらえたら有難いなー、なんて事を考えつつ握手する。
「お友達が増えて良かったわね」
「揶揄わないで下さい」
本当に。
ここには遊びに来た訳では無いのだから。
たった3日でこれでは先が思いやられる。
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ニコ(プロフ) - 白夜（ハクグン）さん» 温かいお言葉をありがとうございます!!おかげで創作意欲が取り戻せましたw無理をしない範囲で物語を進めていきますのでお楽しみに。 (2020年11月14日 16時) (
レス) id: 531ac8166f (このIDを非表示/違反報告)
白夜（ハクグン）(プロフ) - 初コメ失礼します！騎士さんとお嬢様が大好きすぎてもう、、、すごく読んでて楽しい作品です！応援します！あ、これからも、です！最近色々問題が多いので、お体にも気をつけて、、、無理せず頑張ってください！ (2020年11月13日 12時) (レス) id: d2ad143a92 (このIDを非表示/違反報告)
ニコ(プロフ) - Ｒ_さん» ありがとうございます！そう言って下さる方がいるだけで頑張れます……！最後までニヤニヤ出来る作品を目指しますw (2020年5月18日 9時) (レス) id: 531ac8166f (このIDを非表示/違反報告)
Ｒ_ - 初コメ失礼します！！ とても面白くてニヤニヤしながら拝見させて頂いています(((変質者))) この作品大好きっす…！ 応援してます…！！ 更新、無理しない程度に頑張ってください…！ (2020年5月18日 1時) (レス) id: 882f22aeaa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ニコ | 作成日時：2020年4月13日 23時
