21．つい探してしまう ページ21
何事もなく四人で視察を終えて、今はアイラが希望したショッピングをしていた。
それにしても、流石は外交官。話が途切れないし、上手い。こういう巧みな話術で同盟国を増やしていったのだろう。
油断していると簡単に足を掬われそうだ。
だいぶ仲良くなって楽しそうに話しているアイラとオスマンさんの後ろを私とひとらんさんが歩いていると、不意に何処かへ視線を向けて足が止まったアイラ。すると私の方へ笑顔で振り向いた。
「あそこに行きましょう！！」
気分が高揚すると淑やかさが無くなってしまうのは今後直していかないといけないな。
そんな事を考えつつ、アイラが指差す方向を見ると、服屋があった。
「何か、足りない服でもございましたか？」
つい入れ忘れでもあったのかと心配になって言えば、満面の笑みで返された。
「何を言っているの。貴女の服を買うのよ」
「…………はい？」
「ああいうのもいいけれど、やっぱりこっちかしら。でも、これも捨てがたいわ」
「……」
様々な種類の服を手にとって吟味しているアイラの表情は生き生きとしている。そんな彼女を見ている私は、きっと普段より死んだ顔をしているだろうな。
散々、服は充分にあるから必要ないと言っても聞き入れてくれず、仕舞いには付き添いで来た筈の他二人まで悪乗りして引っ張るものだから仕方なく入店したけれど、アイラの勢いが止まらない。
「お嬢様、私は動きやすい服なら何でも、」
「駄目よ！折角なんだからAもお洒落しましょう」
ですよねー。
うん、聞き入れてくれるとは思ってませんとも。
手持ち無沙汰になり適当に服を見ていると、アクセサリー売場を見つけた。ピアスにイヤリング、指輪やブレスレットなど種類が豊富に取り揃えてある。
その中で、1つのペンダントに目が止まった。
(これは……)
「何か気になる物でもあった？」
「ひとらん様」
後ろから声を掛けられて振り返ると、覗き込むようにこちらを見るひとらんさんが居た。
私は見易くなるよう体を避けて、先程見ていた物を手に取る。
「こちらの、花の模様が珍しかったので……」
「本当だ。俺の故郷の桜みたいだけど、ちょっと違うなぁ」
長方形の小振りな白い木材に、花の形に見える丸い穴があいているシンプルなデザインのペンダント。
(梅は、この世界に無いのか)
暫し、その模様を眺めてから手を離した。
「あれ、買わないの？」
「必要な物ではありませんので」
胸の内の寂しさを無視して歩き出す。
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ニコ(プロフ) - 白夜（ハクグン）さん» 温かいお言葉をありがとうございます!!おかげで創作意欲が取り戻せましたw無理をしない範囲で物語を進めていきますのでお楽しみに。 (2020年11月14日 16時) (
レス) id: 531ac8166f (このIDを非表示/違反報告)
白夜（ハクグン）(プロフ) - 初コメ失礼します！騎士さんとお嬢様が大好きすぎてもう、、、すごく読んでて楽しい作品です！応援します！あ、これからも、です！最近色々問題が多いので、お体にも気をつけて、、、無理せず頑張ってください！ (2020年11月13日 12時) (レス) id: d2ad143a92 (このIDを非表示/違反報告)
ニコ(プロフ) - Ｒ_さん» ありがとうございます！そう言って下さる方がいるだけで頑張れます……！最後までニヤニヤ出来る作品を目指しますw (2020年5月18日 9時) (レス) id: 531ac8166f (このIDを非表示/違反報告)
Ｒ_ - 初コメ失礼します！！ とても面白くてニヤニヤしながら拝見させて頂いています(((変質者))) この作品大好きっす…！ 応援してます…！！ 更新、無理しない程度に頑張ってください…！ (2020年5月18日 1時) (レス) id: 882f22aeaa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ニコ | 作成日時：2020年4月13日 23時
