03．日常ってやっぱり大事 ページ3
姿見に移る私は前世の姿とは似ても似つかない。
黒髪黒目の平凡な顔立ちから、切れ長のミントグリーンの瞳に癖のないアッシュグレイの髪を持つ綺麗な少女になっていた。
見た目が違い過ぎるのも、現実を受け止めるのに時間がかかった理由の一つだったりする。
一通り見て特に可笑しなところがないのを確認すれば、両親が待っているであろう部屋へ向かう。
貴族の護衛をしている由緒ある家柄なので普通なら使用人を雇ったりするものだが、むしろ主人の護衛や世話をするのだから自分のことは自分でするべきと、ストイックな考えをしているのでこの家には家族以外の人間が住んでいない。こういう家は役職を持つお偉いさんでは他にいないらしい。
私個人としてはありがたいけどね。
屋敷もそこまで広くなく、必要最低限しかないのでとても過ごしやすい。
二階にある自室から階段を下りて家族が揃って食事する部屋へ入るとすでに食事の準備はできていた。
「おはようございます、お父様、お母様」
食卓に座って朝刊を読んでいたアッシュグレイの髪の父は私を見て微笑んだ。
「あぁ、おはようA」
「おはよう、A。さ、座って食べましょう」
「はい」
食事を運ぶミントグリーンの瞳の母に促されて席に座る。
食卓には温かいシンプルな食事が並んでいる。
両親はその優しさ故に困窮している市民への寄付や支援を進んでしていることで、自ずと生活は質素になっていた。だが、それに関しても私はむしろ毎回豪華な食事を出される方が落ち着かなくなっていただろう。
こうして考えると、この家に生まれてこれて良かったと心から思う。
(ご馳走様でした)
心の中で静かに告げて食事を終える。
この国では食前と食後に何かを言うような習慣はないので、口では言わずに前世での習慣を続けていた。
こういう風に割り切れていないところが未だに子供らしくいれない原因なんだろうな。
そんな子供らしくない私でも、両親は気にせず愛情を注いでくれる。それに私は答えたい。
「A」
「何でしょうか、お父様」
食事を終えていた父が穏やかな表情で私を呼び止める。
「今日でお前も10歳になったからな、私からこれを贈らせてくれ」
差し出されたのは60�儷瓩�ある長方形の白い箱で思ったより重い。
「開けてもいいですか？」
「勿論」
高鳴る胸を抑えてゆっくりと箱を開ける。
そこに入っていたのは、白い布に包まれたシンプルだけど美しい刀だった。
「……きれい」
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ニコ(プロフ) - 白夜（ハクグン）さん» 温かいお言葉をありがとうございます!!おかげで創作意欲が取り戻せましたw無理をしない範囲で物語を進めていきますのでお楽しみに。 (2020年11月14日 16時) (
レス) id: 531ac8166f (このIDを非表示/違反報告)
白夜（ハクグン）(プロフ) - 初コメ失礼します！騎士さんとお嬢様が大好きすぎてもう、、、すごく読んでて楽しい作品です！応援します！あ、これからも、です！最近色々問題が多いので、お体にも気をつけて、、、無理せず頑張ってください！ (2020年11月13日 12時) (レス) id: d2ad143a92 (このIDを非表示/違反報告)
ニコ(プロフ) - Ｒ_さん» ありがとうございます！そう言って下さる方がいるだけで頑張れます……！最後までニヤニヤ出来る作品を目指しますw (2020年5月18日 9時) (レス) id: 531ac8166f (このIDを非表示/違反報告)
Ｒ_ - 初コメ失礼します！！ とても面白くてニヤニヤしながら拝見させて頂いています(((変質者))) この作品大好きっす…！ 応援してます…！！ 更新、無理しない程度に頑張ってください…！ (2020年5月18日 1時) (レス) id: 882f22aeaa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ニコ | 作成日時：2020年4月13日 23時
