12．最初なんてこんなもの ページ12
流石に街から砦までは少し距離があるので用意されていた車を鬱さんが運転して向かう。
使われている道だからそこまで凸凹してなくて少し安心した。
車で来ればそこまで時間がかからず着くことができた。
ちゃんと塀で囲まれているらしく、閉じられた門の前で私たちは車から降りた。
「戻りました鬱ですぅ。開けてくれへん？」
「は！少々お待ちください」
開けられた門から中へ入ると、目の前に広がる立派な砦の迫力に気圧される。
これでまだ国としては歴史が浅いとは到底思えないな。
中に入るとより顕著で、ここまで"ここが戦場になることを想定されて"造られているのには感心してしまう。侵入者からは見えない位置でも防衛側からは見えたり、分かり辛い位置に覗き穴のようなものがあったり。これは攻め難い砦だな。
実用性の重視された建物に関心しつつ、ゆったりと歩く鬱さんの後ろをついて行く。
入ってすぐは一般兵らしきざわめきがあったのが、進んでいくと徐々に人の気配が無くなっていった。それに気付くと自然と体が緊張してくる。
迷いなく進む鬱さんがとある部屋の前で止まった。
コン、コン、コン
「連れてきたでー」
『入れ』
かなり低めの声を聴いてから鬱さんは扉を開けた。
「なんや、皆揃っとったんか」
「当たり前やろ」
部屋の中には思ったより多くの人がいた。
立派な長机を囲むように10人の男性が座っていて、着ている服も、こちらに向ける視線もそれぞれで、それだけでもこの人たちが個性的なのがよく分かる。
「さて、Ｄ国からわざわざお越しいただき感謝致します」
私たちから見て正面に座っている黒い軍服着た男性が話し始めると、この場が静まる。
その声は先ほど入室を促したもので、両肘を机について不敵に笑う様は、あの男とは違い嫌味な感じは無かった。
「私は、この国の総統であるグルッペン・なんちゃらだ」
「こら、ちゃんと紹介せぇや」
なんだろう、この国の総統様はお茶目なのか？
どう受け取ればいいのか分からなくて呆然としていると、気にも留めていないアイラが話し始める。
「お初にお目にかかります。私が使者のアイラ・ウィリッシュでございます。後ろに控えるのは私の世話係で」
普段よりは動きやすいワンピースの裾を片手で持ち上げてお辞儀をする様がよく似合う。
なんて考えていれば、急に鳥肌が立った。
思考するより先にアイラの腕を掴んで自分の方へ寄せてから非常時用のナイフを取り出す。
その瞬間、甲高い音が響いた。
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ニコ(プロフ) - 白夜（ハクグン）さん» 温かいお言葉をありがとうございます!!おかげで創作意欲が取り戻せましたw無理をしない範囲で物語を進めていきますのでお楽しみに。 (2020年11月14日 16時) (
レス) id: 531ac8166f (このIDを非表示/違反報告)
白夜（ハクグン）(プロフ) - 初コメ失礼します！騎士さんとお嬢様が大好きすぎてもう、、、すごく読んでて楽しい作品です！応援します！あ、これからも、です！最近色々問題が多いので、お体にも気をつけて、、、無理せず頑張ってください！ (2020年11月13日 12時) (レス) id: d2ad143a92 (このIDを非表示/違反報告)
ニコ(プロフ) - Ｒ_さん» ありがとうございます！そう言って下さる方がいるだけで頑張れます……！最後までニヤニヤ出来る作品を目指しますw (2020年5月18日 9時) (レス) id: 531ac8166f (このIDを非表示/違反報告)
Ｒ_ - 初コメ失礼します！！ とても面白くてニヤニヤしながら拝見させて頂いています(((変質者))) この作品大好きっす…！ 応援してます…！！ 更新、無理しない程度に頑張ってください…！ (2020年5月18日 1時) (レス) id: 882f22aeaa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ニコ | 作成日時：2020年4月13日 23時
