02．慣れればこちらのもの ページ2
寿命で穏やかに自分の人生を終えた筈の私が、それまでの記憶を持ったまま新たな人生を歩むという事実を受け止めることができたのは5才になる前だった。
それまでは、他人に甲斐甲斐しくお世話をされることへの羞恥心と戦ったり、最初に見た新婚夫婦が今の私の両親だということをしっかり認識したり、なるべく怪しくならない程度に子供らしい振る舞いを覚えたり。
なんでこうなったかなんて考える暇もなかった。
もう一回人生をやり直すならせめて記憶のリセットくらいはしてほしかった、と何度思ったことか。
ま、それも今の生活に慣れてきたらどうでもよくなってきたけどね。
ここで今の私の家庭環境などを少し整理しようか。
どうやら私が所謂"転生"とやらをしたこの世界は、貴族や王族といった身分制度が残っている社会で、それによる権力闘争や領地争いなどで起こる戦争も頻繁にある(私の前世での場合を比較しているからあまり参考にならないかもしれないけど)
そんな中で、私の生まれた家はとある貴族に仕える騎士の家系だった。
私が住むＤ国の中では最高権力者と言ってもいいほどの力を持つ"ウィリッシュ家"の当主や家族の護衛、身の回りの世話などをしているのだから普通の使用人や護衛とは一線を越えた、かなり重要な役目を担っているらしい。
これを知った時は「ただでさえややこしい状況なのに、より面倒な要素が増えた」とまだ幼いのにこの先の人生が億劫になったわ。
それでも、現当主の護衛騎士をしている父の話を聞いていると、そういったことに無縁だった私の心が震えるのだから不思議だ。
父と母は優しく、厳しい人で、いづれウィリッシュ家の方へ仕えるのだからと、普通なら物心つく前の年に必要な知識を一通り覚えさせられた。
なんだろ、優しい言い方をしてたのに有無を言わせない迫力があった。
そんな仕事に関しては両親共に妥協を許さない人たちだけれど、日常生活ではとことん甘やかしてくれた。それこそ、前世でもここまでされたかと思うほどに。
そうして、新たな両親に愛されながら、どうにかここで生きていくことを決めて数年経ち。
私は10歳になった。
(今日は確か、お父様から渡したい物があるって言われてたっけ)
朝日に目を細めつつ、のそりとベッドから這い出て身支度を始める。
まずは顔を洗い、肌触りの良い寝巻から着替える。
襟に軽くフリルの付いたシャツに動きやすいズボンを着て、姿見の前に立って自分の姿を確認する。
03．日常ってやっぱり大事→←01．きっかけなんてありもしない
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ニコ(プロフ) - 白夜（ハクグン）さん» 温かいお言葉をありがとうございます!!おかげで創作意欲が取り戻せましたw無理をしない範囲で物語を進めていきますのでお楽しみに。 (2020年11月14日 16時) (
レス) id: 531ac8166f (このIDを非表示/違反報告)
白夜（ハクグン）(プロフ) - 初コメ失礼します！騎士さんとお嬢様が大好きすぎてもう、、、すごく読んでて楽しい作品です！応援します！あ、これからも、です！最近色々問題が多いので、お体にも気をつけて、、、無理せず頑張ってください！ (2020年11月13日 12時) (レス) id: d2ad143a92 (このIDを非表示/違反報告)
ニコ(プロフ) - Ｒ_さん» ありがとうございます！そう言って下さる方がいるだけで頑張れます……！最後までニヤニヤ出来る作品を目指しますw (2020年5月18日 9時) (レス) id: 531ac8166f (このIDを非表示/違反報告)
Ｒ_ - 初コメ失礼します！！ とても面白くてニヤニヤしながら拝見させて頂いています(((変質者))) この作品大好きっす…！ 応援してます…！！ 更新、無理しない程度に頑張ってください…！ (2020年5月18日 1時) (レス) id: 882f22aeaa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ニコ | 作成日時：2020年4月13日 23時
