タイトル ２ ページ3
藤原樹side.
あぁ、彼女が、Aが行ってしまう。
追い掛けたくても足が鉛のように重たくて、動かない。
話し掛けたくても言葉が思うように出てこなくて、吃ってしまう。
何で。
なんで。
藤原｢なんで、だよ。｣
何だ、何を間違えた。
Aを怒らせた？
いいや、していない。
Aを悲しませた？
そんなこと、するわけない。
足に力が入らなくて、ズルズルと地面に座り込む。
雨が強くなってきた。
藤原｢なんで、なんでだよ。A。なんで、｣
藤原｢なんでだ！！｣
どんどん強くなる雨が自分のぐちゃぐちゃの感情を表しているようで、無性に腹が立った。
藤原｢A...、。｣
地面に強く拳を叩きつけたからか、血が滲んでいた。
藤原｢A、。｣
血が滲んだ手を握りしめる。
藤原｢A。｣
胸が苦しい。
何かがぽっかりと抜け落ちたようだ。
藤原｢愛してる。愛してる、A。｣
頬に流れる雨は、生暖かくて。
自分が泣いているという事に気がついた。
どこにも行って欲しくない。
他の男を見ないで、話さないで、笑いかけないで。
俺の気持ちは、Aと同じって、なんで気づかないの。
ずっと一緒にいて欲しい。
ずっとそばにいて欲しい。
なら、なら。
藤原｢ずっと、閉じ込めておけばいい。｣
続く
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作者名：もじゃ | 作成日時：2022年12月16日 22時
