192.これからの楽しみ ページ45
「俺はこれから杏がどう成長していくか楽しみだ!杏が大人になって、俺たちのように大切に想える誰かと結ばれるまで長く見守りたいと思っている!」
月を見上げた彼の目は遠い未来を見ているかのように輝いて見えた。
「杏寿郎さんからそのようなお話が聞けるとは、思ってもいませんでした」
「む?」と彼が私を見る。
「私は“今”でいっぱいいっぱいで、まだ小さい杏が大人になったら………なんて、考えたこともなかったから」
そこまで言ってグラスのお酒を一口飲むと、微笑んでそっと隣の杏寿郎さんの肩に凭れる。
「これから先が、とても楽しみになりました」
私の手に彼が手を重ねる。
「一緒にあの子の成長を見届けよう!」
「えぇ」と頷くと、ちゅっと頬に口付けられた。
彼が離れたあと私からも頬に口付ける。
「それにしても、杏は祭りが好きなのだろうか?」
思い出した様にポツリと溢された彼の言葉に「うーん…」と首を捻る。
「どうでしょう?お囃子の音に興味を示していたので、もしかするとお囃子が好きなのかもしれません」
「もうすぐいつもの祭りだが、楽しんでくれるだろうか」
その言葉に杏寿郎さんとほぼ毎年一緒に行っている思い出のお祭りを思い出す。
「ふふふっ、去年は花火の音を怖がっていましたね」
「あぁ。………そうだ!恋仲だった頃のようにお祭りの前に、芝居を見に行くのはどうだろう?」
「お芝居ですか?」
「初めて君と出掛けた日、次は芝居を観に行こうと洋食屋で話しただろう!」
「よ、よく覚えてらっしゃいますね」
確かあの日は歌舞伎を見た。
そして次は芝居を見ようと確かに彼は言っていた。
「Aとのことは何でも覚えている!」
その言葉に頬が熱くなる。
「…それはそれで困ります!」
恥ずかしいことまで覚えてられていたら、こちらとしては堪ったものではない。
そんな私の気も知らず、彼は何故だ?と首を傾げている。
「でもあの子、お芝居の間じっとしていられるかしら?今日だって私と千寿郎くんの手を離して駆け出して行ったんですよ」
「む。それもそうだな」
私の言葉に杏寿郎さんが考え込む。
「では、久しぶりにAの実家に行くか!」
グラスに視線を落としていた私は突然の提案に驚いて顔をあげる。
「…!良いのですか?」
「あぁ!成長した孫の顔も見せたいしな!」
実家へは杏が生まれて八ヶ月経った頃に一度行ったきりだった。
「芝居はまだお預けだな」
「えぇ」と私は笑顔で頷いた。
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義勇と杏寿郎推し - 杏大丈夫か?心配だ!まさか杏鬼に襲われたのか?杏〜〜〜〜! (2021年5月3日 10時) (レス) id: 4609b567d2 (このIDを非表示/違反報告)
義勇と杏寿郎推し - 鮭大根食べたい・・・・・。ムフフしたい・・・・・。ないからさつまいもで我慢した!わっしょい! (2021年4月8日 17時) (レス) id: 4609b567d2 (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - 義勇と杏寿郎推しさん» こんばんは(^^)なるほど、今度はアオイちゃんですかね。 (2021年4月7日 20時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
義勇と杏寿郎推し - あら!正解です!簡単でしたね! 月のものが来てなかったらもしかしたら・・・・・妊婦しているのかもしれないので蝶屋敷に来てくださいね!誰だしょう?しのぶさんじゃありません!蝶屋敷の誰です!答えはコメントで! (2021年4月7日 9時) (レス) id: 4609b567d2 (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - 義勇と杏寿郎推しさん» こんばんは(^^)ふむふむ。しのぶさん、ですかね? (2021年4月6日 18時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月見 | 作成日時:2021年3月14日 8時