181.四人の嫁 ページ34
「千寿郎くん!これも一緒にお願いできる?」
台所で世話しなく動きながら、空になったお皿を引いて戻ってきた千くんに声をかける。
「任せてください!」
返事を聞きいて、料理が入った小鉢をお盆に乗せると彼はまた居間へ戻って行った。
「急に押し掛けてきて、手伝いまでしてもらって悪いね」
そんな声がして振り返ると、まきをさんが鍋の様子を見ながら声をかけてきた。
「いえ。料理するのは好きですし、私、得意なんですよ」
にこっと笑うと須磨さんが煮物を味見しながら私を見る。
「Aさん、民宿の娘さんだっただけのことはありますぅ。はぁ〜とってもおひしいれすぅ」
「ちょっとアンタ!食べながら喋るんじゃないよ!行儀悪い!!」
ぐいっと須磨さんのほっぺをつねるまきをさん。
微笑ましい姿に思わずくすっと笑う。
「それにしても皆さんふぐが捌けるなんて凄いですね!」
「天元様が好きなんですよ、ふぐ刺し」
雛鶴さんが愛おしそうに目を細めて言った。
今日は鬼殺隊で柱合会議が行われていた日で、会議終わりに話の流れで宴会をする運びとなったらしい。
この場合、何時もは音柱邸で行っているそうなのだけれど、今日はそこの主である彼女達の旦那さん、宇髄天元さんの一声で我が家で催す事になったそうだ。
杏寿郎さんが帰ってくるなりその話を聞いて焦ったけれど、数分後には三人が食材を持って煉獄家を尋ねてきたと言うわけである。
宇髄さんと言えば、私たちの新婚旅行に温泉宿を勧めてくれた人だ。
料理をしながら彼女たちにその話をすると、どんどん話題が膨らんでいく。
「姉上!」
四人で楽しくお喋りしながら手を動かしていると、千寿郎くんが入ってきた。
「杏が姉上を探してぐずり始めていて…そろそろ僕たちでは限界みたいです」
どこか申し訳なさそうに眉を垂らす千寿郎くん。
「行ってやりな!」
「もう随分、準備も終わりましたし、私たちだけでも大丈夫ですよ」
まきをさんと雛鶴さんがそう言ってくれる。
「でも、皆さんもお客様なのに私が抜ける訳には………」
「元はと言えば、こっちが急に押し掛けてきたんだから気にしなくていいんだよ」
「Aさんはずっとおもてなしする側だったから、慣れないかもしれないですけれど、あとは私たちに任せてください」
むんっと頼もしげに須磨さんが腕をまくる。
それを見て私は彼女たちの好意に甘えることにした。
「ありがとうございます。よろしくお願いします」
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義勇と杏寿郎推し - 杏大丈夫か?心配だ!まさか杏鬼に襲われたのか?杏〜〜〜〜! (2021年5月3日 10時) (レス) id: 4609b567d2 (このIDを非表示/違反報告)
義勇と杏寿郎推し - 鮭大根食べたい・・・・・。ムフフしたい・・・・・。ないからさつまいもで我慢した!わっしょい! (2021年4月8日 17時) (レス) id: 4609b567d2 (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - 義勇と杏寿郎推しさん» こんばんは(^^)なるほど、今度はアオイちゃんですかね。 (2021年4月7日 20時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
義勇と杏寿郎推し - あら!正解です!簡単でしたね! 月のものが来てなかったらもしかしたら・・・・・妊婦しているのかもしれないので蝶屋敷に来てくださいね!誰だしょう?しのぶさんじゃありません!蝶屋敷の誰です!答えはコメントで! (2021年4月7日 9時) (レス) id: 4609b567d2 (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - 義勇と杏寿郎推しさん» こんばんは(^^)ふむふむ。しのぶさん、ですかね? (2021年4月6日 18時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月見 | 作成日時:2021年3月14日 8時