162.銀杏 ページ15
「あと一駅で降りるぞ」
駅弁を食べ追えて暫くたった頃、杏寿郎さんがそう言った。
「えぇ」と頷いて窓の景色を眺める。
すっかり紅葉に包まれた木々が美しくて、つい見とれる。
駅を降りると、お土産屋さんが並んだ通りがあって人々で賑わっていた。
「こっちだ」と手を引かれて彼の後を付いていく。
大きな通りから細い道に曲がって人通りの少ない道を進んでいく。
側には川が流れていて、そこに架かっていた橋を渡った。
どこに向かっているんだろう?
そう思っていると、暫くして綺麗に色づいた銀杏並木が見えてきた。
「わぁ……!」と思わず感嘆の声を漏らす。
「Aに相談もなしに旅行を決めてしまったのは悪いと思ったが、君を喜ばせたかったんだ!」
そう言って、愛おしそうに私を見ると目を細めて笑う。
杏寿郎さんは“いい温泉がある”と仲間に教えてもらったと言っていたけれど、なんの迷いもなくこの場所へ歩いてきた。
「杏寿郎さんはこの場所、ご存知だったんですか?」
少し疑問に思って尋ねる。
「あぁ!昔、任務でな。だが、この先の温泉宿のことは教えてもらうまで知らなかった!」
「素敵な場所ですね」
はらり、と舞い落ちてきた葉が杏寿郎さんの頭に乗った。
手を伸ばして「付いてますよ」なんて言えば、今度は杏寿郎さんの手が私の頭に伸びてきて「Aも付いてるぞ」何て言うから、二人で笑い合う。
「連れてきてくれてありがとうございます」
「何言っている。旅行はまだまだこれからだ!」
感謝の気持ちを述べると杏寿郎さんが爽やかな笑顔を見せてくる。
「えぇ」
杏寿郎さんの頭から取って手にしていた銀杏の葉はとても綺麗だった。
記念に持ち帰ろうと着物の合わせに挟むと暫く景色を楽しんだ。
それからまた彼と一緒に歩きだす。
近くで魚釣りの体験をしたり、釣った魚をお店で料理してもらって食べたり、川の先へ少し進んで大きな滝を見たりと、観光を楽しむ。
歩きながら今度は綺麗なもみじの葉を見つけてそれも記念に持ち帰る。
途中、売店で蒸したてのお饅頭を買うと足湯に浸かりながら二人で食べた。
一通り楽しんで日が暮れた頃、私たちは温泉宿へ向かった。
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義勇と杏寿郎推し - 杏大丈夫か?心配だ!まさか杏鬼に襲われたのか?杏〜〜〜〜! (2021年5月3日 10時) (レス) id: 4609b567d2 (このIDを非表示/違反報告)
義勇と杏寿郎推し - 鮭大根食べたい・・・・・。ムフフしたい・・・・・。ないからさつまいもで我慢した!わっしょい! (2021年4月8日 17時) (レス) id: 4609b567d2 (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - 義勇と杏寿郎推しさん» こんばんは(^^)なるほど、今度はアオイちゃんですかね。 (2021年4月7日 20時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
義勇と杏寿郎推し - あら!正解です!簡単でしたね! 月のものが来てなかったらもしかしたら・・・・・妊婦しているのかもしれないので蝶屋敷に来てくださいね!誰だしょう?しのぶさんじゃありません!蝶屋敷の誰です!答えはコメントで! (2021年4月7日 9時) (レス) id: 4609b567d2 (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - 義勇と杏寿郎推しさん» こんばんは(^^)ふむふむ。しのぶさん、ですかね? (2021年4月6日 18時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月見 | 作成日時:2021年3月14日 8時