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148.どうか ページ1

「A、もう少しだ!だから信じて待っていてくれ」

杏寿郎さんは私にそう言った。


“もう少し”と言うのは恐らく彼が柱になれるまでの時間の事だろう。

そうしたら、私たちは結婚する。


だから“無事に戻るから待っていて欲しい”と彼は私に頼んでいるんだ。


「分かりました」

一言告げると一度大きく息を吸う。


「杏寿郎さんの事、信じていますから。必ず私の所に帰ってきてください」


彼の手を取ってぎゅっと握る。


“どうか無事に帰って来て”と願いを込めて。


杏寿郎さんが柱になれなかったとしてもいい。


私は貴方に帰って来て欲しい。


杏寿郎さんがいなくなってしまえば、何もかも意味がなくなるからだ。


「あぁ!約束する!」

握っていた手を持ち上げると、そっと手に口付けが落ちてくる。


「破ったら、…承知しませんからね……」


泣いてしまいそうになるのを堪えて、キッと彼を見た。


「よもや!それは大変だな!」

「はははっ」と笑って彼は私に口付けた。


*****


二日後、杏寿郎さんが帝都へ向かう日がやってきた。

玄関で千寿郎くんと共に二人を見送る。

今回は少し大掛かりな任務になるようで、蜜璃ちゃんや、その他数名の隊士と合同任務のようだ。


「兄上、蜜璃さん、忘れ物はないですか?」

「あぁ!大丈夫だ!」

「蜜璃ちゃん、杏寿郎さんのことお願いね」

「えぇ!任せてください!」

私の言葉に蜜璃ちゃんが作った握り拳を胸の前に持ってきた。

その姿に少し頼もしくなる。


「杏寿郎さんも、蜜璃ちゃんのことお願いします」

「あぁ!」


いつも通りの元気な杏寿郎さんの声。

けれど、私は今日これから二人が戦う鬼が強い鬼であることを思うと、つい俯いてしまう。


「A?」

杏寿郎さんが私の顔を覗き込む。


「………お二人にこんなこと言うの、…本当は駄目だって分かっています。…………でもっ…」

そこまで言って下を向いていた顔を上げる。


「無茶しないで、危険だと思ったら逃げて。………ちゃんと家に帰って来てください!」

149.任務への不安→



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設定タグ:鬼滅の刃 , 煉獄杏寿郎   
作品ジャンル:アニメ
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義勇と杏寿郎推し - 杏大丈夫か?心配だ!まさか杏鬼に襲われたのか?杏〜〜〜〜! (2021年5月3日 10時) (レス) id: 4609b567d2 (このIDを非表示/違反報告)
義勇と杏寿郎推し - 鮭大根食べたい・・・・・。ムフフしたい・・・・・。ないからさつまいもで我慢した!わっしょい! (2021年4月8日 17時) (レス) id: 4609b567d2 (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - 義勇と杏寿郎推しさん» こんばんは(^^)なるほど、今度はアオイちゃんですかね。 (2021年4月7日 20時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
義勇と杏寿郎推し - あら!正解です!簡単でしたね! 月のものが来てなかったらもしかしたら・・・・・妊婦しているのかもしれないので蝶屋敷に来てくださいね!誰だしょう?しのぶさんじゃありません!蝶屋敷の誰です!答えはコメントで! (2021年4月7日 9時) (レス) id: 4609b567d2 (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - 義勇と杏寿郎推しさん» こんばんは(^^)ふむふむ。しのぶさん、ですかね? (2021年4月6日 18時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:月見 | 作成日時:2021年3月14日 8時

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