142.私からも ページ44
「捕まえた!」
何処か楽しそうな彼の声。
やっぱりからかわれているようだ。
だから尚更恥ずかしくて、お酒の力もあって余計に頬が熱くなっていく。
「な、何ですか!?もうっ……!私、別に逃げていませんよ?」
「だが、呼んでも振り向いてくれなかっただろう?」
「う…!だ、だって!………っ、んんっ!!」
反論するまもなく唇を塞がれた。
杏寿郎さんが何度も食らいつくように唇に吸い付いてくる。
接吻はもう何度もしているけれど、ここ最近は触れるような口付けばかりだったので、この状況に頭が追い付いていかない。
お酒のせいで頭もふわふわしていて、直ぐに苦しくなる。
ぎゅっと彼の着物を握ると唇の間を割って入ってきた彼の舌が私のものと絡められる。
「…んっ!?…ふっ、……ぁ……っ……!」
な、何……!?
初めての感覚にどうしたら良いのか分からない。
おまけに息が続かなくて苦しい。
彼の着物を握っていた手でどんどんっと、胸を叩けば、漸く放してもらえた。
「………っ!、はぁっ………」
大きく肩で息をして、呼吸を整える。
先程までの事が頭の中にあって、少しずつ状況を理解すると只でさえ熱を持っていた頬が更に熱を帯びる。
力なく彼を見ると、愛おしそうに目を細めながら頬に手を添えてくる。
「…あんまり、煽るな………」
「え………?」
よく分からなくて、首を傾げるとちゅっと頬に口付けられる。
「そんな顔をされるともう一度、Aに接吻したくなる」
「えぇっ!?……い、今したばかりじゃありませんか……!」
ぼんっと顔が爆発しそうだ。
「はははっ!そうだな!」なんて笑いながらまた顔を近づけてくる。
先程までとは少し違って、確かめるようにゆっくり角度を変えて何度も口付けられる。
今度のは何だか心地よくて、息が続くから私の心に少し余裕が生まれる。
こんなにも私を求めてくれる彼が愛しくて、自分からも彼の唇に吸い付いてみる。
「!」
驚いた彼が唇を離した。
目を見開いて固まるその姿に、少しずつ不安がこみ上げてくる。
「嫌、………でした?」
聞くと、はっとしたように首がぶんぶんと振られた。
「いや、驚いたがそんなことはない!寧ろ凄く幸せだ!」
少し赤い顔で心底嬉しそうに笑ってくれてほっとする。
「いつも、杏寿郎さんにしてもらうばかりなので…。たまには私からも……と思って………」
自分で言っておいて恥ずかしくなった私は手で顔を隠した。
245人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
月見(プロフ) - 莉子さん» 可愛らしく書けていてよかったです!作者も早く二人には祝言あげて欲しくてうずうずしています!でもきっとあともう少しです(^^) (2021年3月10日 21時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
莉子(プロフ) - 夢主ちゃん可愛いですね( ´ ▽ ` )早く祝言あげて欲しいですね。。。 (2021年3月10日 20時) (レス) id: da7568f49d (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - 莉子さん» ありがとうございます!夢主ちゃんには甘い煉獄さんを書いてみたら、自然と優しくなりました(*^^*) (2021年3月1日 12時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
莉子(プロフ) - 煉獄さん優しい。。( ; ; )月見様の煉獄さん大好きです。 (2021年3月1日 12時) (レス) id: da7568f49d (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - 莉子さん» コメントありがとうございます!プロポーズのシーンは悩みながら書いたので、そう言って貰えて嬉しいです!夢主ちゃん、少しずつ成長してます(^^) (2021年2月26日 12時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:月見 | 作成日時:2021年2月4日 23時