139.実家から ページ41
「む。文を読んでいたのか。邪魔してしまったか？」
「いえ、そんなことないですよ。それに杏寿郎さんにもお伝えしたいことが書かれていたので丁度良かったです」
そう言って文を折り畳んでいると彼が隣に座る。
「先月、静子さんと兄の子が無事に産まれたと、母が知らせてくれました」
告げると、ぱっと表情が明るくなる。
「よもや！それはめでたい！！」
「はい！お祝いを贈らないといけませんね」
「そうだな！今度一緒に見に行こう！」
「えぇ！」
祝いの品を選ぶとはいえ、杏寿郎さんとのお出掛けの約束に胸が踊る。
「折角だから、そのうち実家へ会いに行くといい」
「えっ？……良いんですか？」
実家へは滅多に帰れないと覚悟していただけに、その提案に拍子抜けしてしまう。
まだ、煉獄家に嫁いだわけではないけれど、ここへ来るというとはそう言うことだと思っていたからだ。
それにここから実家までは少し距離がある。
「君の姪っ子か甥っ子だろう？それに久しぶりにAが会いに行けばご両親も喜ぶだろう」
にっと笑いかけてくれるその優しさに胸が温かくなる。
「ありがとうございます。…でも、それはもう少し先にしておきます。まだ産まれたばかりで静子さんも大変でしょうし、それにそろそろ民宿は忙しい時期に入るので」
「そうか」
「………もし、杏寿郎さんの都合が付くならその時は一緒に行きたいです」
少し我が儘だったかしら？
そう思ったけれど、少しでも彼と一緒にいたくてちらっと見上げる。
「勿論だ！その時はまたAと庭を眺めたいな」
何処か懐かしそうな目をしている杏寿郎さん。
きっと、二人で見た庭の景色を思い出しているんだ。
私もあの頃は毎日見ていた筈なのにとても懐かしく感じる。
それをまた彼と見られたら、とても素敵だと思った。
「勿論です」
二人でにこにこ笑い合って、ふと思い付く。
「あ！そうだ！少し待っていてください」
立ち上がって小走りで台所へ向かうと、お目当ての物をお盆に乗せて戻る。
「お待たせしました」と言って中にはいると彼が目を見開いた。
「それは…」
「えぇ、一緒にお出掛けした時に買ったグラスです」
グラスを乗せたお盆を置いて、押し入れからあるものを取り出す。
「お義父さんには秘密ですよ」
私の手元にあるものを認識すると彼が「あぁ」と頷いた。
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月見(プロフ) - 莉子さん» 可愛らしく書けていてよかったです！作者も早く二人には祝言あげて欲しくてうずうずしています！でもきっとあともう少しです(^^) (2021年3月10日 21時) (
レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
莉子(プロフ) - 夢主ちゃん可愛いですね( ´ ▽ ` )早く祝言あげて欲しいですね。。。 (2021年3月10日 20時) (レス) id: da7568f49d (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - 莉子さん» ありがとうございます！夢主ちゃんには甘い煉獄さんを書いてみたら、自然と優しくなりました(*^^*) (2021年3月1日 12時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
莉子(プロフ) - 煉獄さん優しい。。（ ; ; ）月見様の煉獄さん大好きです。 (2021年3月1日 12時) (レス) id: da7568f49d (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - 莉子さん» コメントありがとうございます！プロポーズのシーンは悩みながら書いたので、そう言って貰えて嬉しいです！夢主ちゃん、少しずつ成長してます(^^) (2021年2月26日 12時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：月見 | 作成日時：2021年2月4日 23時
