103.違和感 ページ5
一週間後、昼餉を終えた頃に杏寿郎さんの鴉の要が飛んで来た。
“任務が終わったから明日の朝に帰ってくる”という内容の伝言を伝えると、要はまた飛んで行ってしまった。
杏寿郎さんが帰ってくる。
久しぶりに彼に会える。
嬉しくて気持ちが舞い上がる。
「Aさん、せっかくですから明日の朝餉はさつまいもご飯と、さつまいもの味噌汁なんてどうでしょう?」
千寿郎くんの提案に頷く。
さつまいもは杏寿郎さんの好物だ。
旬の物ではないから少し値は張るけれど、喜んでくれるならと思って私は買い出しに出掛けた。
途中、お茶請けも買い足して帰路を歩いている。
と、何やら後に違和感を感じる。
もしかして、
……………つけられている?
人通りが少なくなってきた通りに出て暫くするのだけれど、お店を後にしてからずっと同じ人が少し後ろを歩いているのだ。
今日は買い出しの量が少ないから、生憎今は私一人。
私の思い過ごしなら良いけれど、万が一の場合、このまま真っ直ぐ家に帰るのは危険な気がして回り道をすることにした。
角を曲がった途端に走り出してまた次の角を曲がる。
塀の後ろに隠れてそっと覗き込むと、私が来た道から走ってきた人がキョロキョロと見回していた。
「っ………!」
やっぱり。
疑惑が確信に変わって慌てて駆け出す。
息を切らしながら走って何とか屋敷に付いた。
慌てて門を閉めて、安心しきった私は「はぁぁぁっ」と大きく息を吐いてその場にへたり込む。
怖かった…
何だったのかしら………
息を整えながら立ち上がる。
「Aさん?」
声の方に振り向くと、庭で素振りをしていた千寿郎くんと蜜璃ちゃんが不思議そうに私を見ていた。
「顔が少し青いですけど、何かありました?」
「あ………いえ。ちょっと久しぶりに走ってみたくなっちゃって」
「体力付けないと、駄目ね」なんて笑って誤魔化すと家に上がった。
心配掛けたくなくて、とっさに隠してしまった。
でも見たこともない人だったし、ちゃんと逃げてきたからもう大丈夫だろう。
そう思って、私は買ってきた食材の片付けに動いた。
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月見(プロフ) - 莉子さん» 可愛らしく書けていてよかったです!作者も早く二人には祝言あげて欲しくてうずうずしています!でもきっとあともう少しです(^^) (2021年3月10日 21時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
莉子(プロフ) - 夢主ちゃん可愛いですね( ´ ▽ ` )早く祝言あげて欲しいですね。。。 (2021年3月10日 20時) (レス) id: da7568f49d (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - 莉子さん» ありがとうございます!夢主ちゃんには甘い煉獄さんを書いてみたら、自然と優しくなりました(*^^*) (2021年3月1日 12時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
莉子(プロフ) - 煉獄さん優しい。。( ; ; )月見様の煉獄さん大好きです。 (2021年3月1日 12時) (レス) id: da7568f49d (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - 莉子さん» コメントありがとうございます!プロポーズのシーンは悩みながら書いたので、そう言って貰えて嬉しいです!夢主ちゃん、少しずつ成長してます(^^) (2021年2月26日 12時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月見 | 作成日時:2021年2月4日 23時