137.私たち ページ39
それからの数日、蜜璃ちゃんの隊服や日輪刀が届くまで、のんびりした時間が流れた。
怪我をしているので鍛練はお休みとなり、その機会に私と千寿郎くんは蜜璃ちゃんから洋食やお菓子の作り方を教えてもらっている。
「蜜璃ちゃんって本当に料理が上手ね」
夕方、三人で作った料理を居間で食べている中、私は感嘆の声を溢す。
杏寿郎さんは任務で昨日から家を開けていたので残念ながら洋食はお預けだ。
「そんなっ!Aさんに比べたらまだまだよ!」
「そんなことないですよ。何ていうか、……とても料理するのが好き、って感じが伝わってくる優しい味がする」
「それ、僕もわかります!料理をしている時の蜜璃さんは凄く楽しそうです」
「そ、そうかな…?ふたりともありがとう!」
照れ笑いをする彼女に微笑む。
そうやってご飯を食べながら三人で他愛のない会話に没頭して、ふと思った。
「なんだか、蜜璃ちゃんと一緒にいると友だちができたみたいで………楽しい」
「えっ!?」
思った事をぽつりと呟くと、彼女の大きな目が更に大きく見開かれて揺れた。
「私、実家では民宿の手伝いをしていたこともあって、昔から友だちってあまりできたことが無いの。だから、こうやって楽しくお喋りするのとか、とても嬉しくて………」
「わ、私もよ!Aさんとお話しするの、とても楽しいわ!!」
ぎゅっと隣に座る蜜璃ちゃんに手を握られた。
今度は私が驚く番だった。
「前にお話ししたと思うけれど、私お見合いが駄目になったあと、自分を偽って過ごしていたの。………だから、ありのままの私を快く受け入れてくれる煉獄家の皆さんには感謝しているの」
ぎゅぅぅっと握っている手に力が込められる。
少しだけ痛いけれど、それだけ彼女が想いを込めてくれている証だと思った。
「私たち、もう友だち……だったのかもね」
ふふっと笑うと、蜜璃ちゃんの表情が明るくなる。
「…!えぇ!」
「蜜璃ちゃん、もう“さん”付はやめにしない?」
彼女ともっと仲良くなりたい。
そんな思いで提案すると、首を大きくぶんぶんと横に振られた。
「それは駄目よ!Aさんは師範の奥さんになる人だもの!!私は弟子だからさん付けで呼ばせて!」
「そ、そう?……私は別に気にしないけど………」
「師範の奥さんになる人のことは敬っていたいの!」
力強い彼女の視線に折れる。
「分かったわ」
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月見(プロフ) - 莉子さん» 可愛らしく書けていてよかったです!作者も早く二人には祝言あげて欲しくてうずうずしています!でもきっとあともう少しです(^^) (2021年3月10日 21時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
莉子(プロフ) - 夢主ちゃん可愛いですね( ´ ▽ ` )早く祝言あげて欲しいですね。。。 (2021年3月10日 20時) (レス) id: da7568f49d (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - 莉子さん» ありがとうございます!夢主ちゃんには甘い煉獄さんを書いてみたら、自然と優しくなりました(*^^*) (2021年3月1日 12時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
莉子(プロフ) - 煉獄さん優しい。。( ; ; )月見様の煉獄さん大好きです。 (2021年3月1日 12時) (レス) id: da7568f49d (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - 莉子さん» コメントありがとうございます!プロポーズのシーンは悩みながら書いたので、そう言って貰えて嬉しいです!夢主ちゃん、少しずつ成長してます(^^) (2021年2月26日 12時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月見 | 作成日時:2021年2月4日 23時