133.羽織 ページ35
それ以降、杏寿郎さんは毎回私と一緒にご飯を食べ続けた。
仕方ない…と半ば諦めの気持ちだったけれど、私もそれが嬉しかったので、もう止めることはしなかった。
一度だけ杏寿郎さんが任務でいない合間を見計らって、お義父さんが様子を見に来てくれた。
「体の調子は大丈夫か？」
「お、お義父さん…！」
慌てて体を起こせば止められた。
「…家のこと、出来なくて………すみません」
「いや、いい。休めるときに休んでおけ……」
顔を見に来たのか、それだけ言うと部屋を出ていってしまった。
任務の時以外、部屋にとじ込もってお酒を飲んでいるお義父さんだけれど、何だかんだ私の事を気にしてくれていたようだ。
普段は隠しているけれど、実は杏寿郎さんに似て優しいお義父さんなんだと思った。
日に日に体調は良くなって、風邪を引いてから三日間も経てば熱と咳も収まった。
けれどまだ体が気だるくて、休ませてもらっている。
昼間から眠っていて目を覚ますと、布団の傍で器用に座ったままうたた寝している杏寿郎さんの姿があった。
「結婚するまで寝顔はお預けだ」なんて前に彼と話していたことを思い出して、その前にもう一度彼の寝顔が見られて嬉しくなる。
久しぶりに見たその寝顔が可愛くて「ふふふっ」と笑う。
と、彼が突然目を覚ます。
「あ、杏寿郎さん、おはようございます」
「む。起きたか！」
「えぇ。……駄目ですよ、こんなところで座ったまま眠るのは」
そっと体を起こす。
「Aの寝顔を見ながら起きるのを待っていたら、いつの間にか眠っていたようだ！よもや！よもやだ！」
待っていたと聞いて首を傾げる。
「一体いつからいらしてたんですか？」
「なに、大したことはない！それよりも、これだ！」
そう言って、彼は側に置かれていた黒い布を手に取った。
「それは？」と、聞くと同時にふんわりと私の肩にかけられる。
「羽織だ！これから益々寒くなるからな！受け取ってくれ！」
「私の為に…？」
「あぁ！」
いつの間に仕立てていたのかしら？
と思いながらそっと腕を通してみる。
サイズはぴったりだった。
着ていると体が温かくなっていく。
黒だからどんな着物にも合わせられそう。
「君は何を着ても似合うな！」
そんな言葉に顔を上げれば、優しい目で嬉しそうに微笑む彼がいた。
きゅんと胸が高鳴る。
「ありがとう。大切に使いますね」
彼に笑い返して、それから二人で日が暮れるまで他愛のない会話をした。
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月見(プロフ) - 莉子さん» 可愛らしく書けていてよかったです！作者も早く二人には祝言あげて欲しくてうずうずしています！でもきっとあともう少しです(^^) (2021年3月10日 21時) (
レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
莉子(プロフ) - 夢主ちゃん可愛いですね( ´ ▽ ` )早く祝言あげて欲しいですね。。。 (2021年3月10日 20時) (レス) id: da7568f49d (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - 莉子さん» ありがとうございます！夢主ちゃんには甘い煉獄さんを書いてみたら、自然と優しくなりました(*^^*) (2021年3月1日 12時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
莉子(プロフ) - 煉獄さん優しい。。（ ; ; ）月見様の煉獄さん大好きです。 (2021年3月1日 12時) (レス) id: da7568f49d (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - 莉子さん» コメントありがとうございます！プロポーズのシーンは悩みながら書いたので、そう言って貰えて嬉しいです！夢主ちゃん、少しずつ成長してます(^^) (2021年2月26日 12時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：月見 | 作成日時：2021年2月4日 23時
