101.彼女と私の ページ3
「う、……えと、お恥ずかしい限りです…………」
しゅうううっと頭から蒸気でも出そうだ。
それくらい恥ずかしい。
頬に手を当てていると、甘露寺さんがぽつぽつと話し始める。
「私、ここへ来る前にお見合いをしたの。…けれど、失敗してしまって。………人より食欲があって力もあって、髪もこんなだから………気味が悪いそうよ」
さらっとお下げにされている髪を目を伏せて見つめると彼女がそれを手で掬う。
彼女がここへ来た日、不安そうにしていたり、ご飯をおかわりすることに対して怯えた様子を見せていたのは、そう言うことか………と納得する。
「甘露寺さん、貴女は私が羨ましいと思っていたように。私も貴女の事が羨ましかったんですよ」
ずっと胸に仕舞っていたであろう出来事をさらけ出してくれた彼女に私も隠していた気持ちを披露した。
すると慌てたように彼女が顔を赤くする。
「そ、それは…!!私がお稽古で師範を取ってしまっていたから………でしょうか!?」
あぁ、なんだ彼女には私の嫉妬がばれていたのか。
そう思うと少し可笑しかった。
「それもあるけれど、甘露寺さんとっても女性らしくて可愛いらしいから………」
言えば彼女がきょとんとした目で私を見る。
見かけに不安を抱いている彼女にとって、それを褒められるとは思っていなかったのだろう。
「お互い様だったんですね」
くすっと笑うと彼女も恥ずかしそうに笑う。
別に隠すほどの事でもないか、と思った私は「杏寿郎さんには話したこと、言わないでくださいね」と前置きをする。
こくこくと頷いた二人が机から身を乗り出した。
「実は………私ね、最初は杏寿郎さんのこと、すごく苦手だったの」
途端に、二人の驚く声が部屋に響く。
そこからは、どうして婚約するまでの仲になったのかと一頻り質問攻めだった。
順を追って説明を終えると、甘露寺さんは「素敵だわー」と頬を赤くさせていた。
「私ね、添い遂げる殿方を見つけたくて。それで頑張ろうと思ったから、とても憧れちゃう」
「甘露寺さんはどんな方が好みなんですか?」
きゃっきゃっと話が盛り上がっていく。
暫くして突然襖が開いた。
「………煩くて眠れん」
お義父さんだ!
襖が開いたことも驚いたけれど、任務やお酒のお代わり以外で自ら部屋を出てきたことにも驚いた。
縁側に続く障子に目を向けると、赤みがかった日が差し込んでいた。
いつの間にか夕方になっていたらしい。
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月見(プロフ) - 莉子さん» 可愛らしく書けていてよかったです!作者も早く二人には祝言あげて欲しくてうずうずしています!でもきっとあともう少しです(^^) (2021年3月10日 21時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
莉子(プロフ) - 夢主ちゃん可愛いですね( ´ ▽ ` )早く祝言あげて欲しいですね。。。 (2021年3月10日 20時) (レス) id: da7568f49d (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - 莉子さん» ありがとうございます!夢主ちゃんには甘い煉獄さんを書いてみたら、自然と優しくなりました(*^^*) (2021年3月1日 12時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
莉子(プロフ) - 煉獄さん優しい。。( ; ; )月見様の煉獄さん大好きです。 (2021年3月1日 12時) (レス) id: da7568f49d (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - 莉子さん» コメントありがとうございます!プロポーズのシーンは悩みながら書いたので、そう言って貰えて嬉しいです!夢主ちゃん、少しずつ成長してます(^^) (2021年2月26日 12時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月見 | 作成日時:2021年2月4日 23時