113.思い出の買い出し ページ15
それから買い出しへ出掛ける時、杏寿郎さんは時間が許す限り着いて来てくれるようになった。
杏寿郎さんが任務の時は蜜璃ちゃんか千寿郎くんが必ず着いてくれていて、私一人で外に出ることはなかった。
偶々なのかは分からないけれど、あれから誰かに付けられるとこ無く過ごせている。
杏寿郎さんと出掛ける日は、玄関のところで毎回必ず手を差し出された。
そっとその手に触れて手を繋ぐ。
大きくてがっしりしていて、温かい彼の手。
豆が出来ていて傷だらけだけれど、いつも私を守ってくれる優しい手だ。
二人並んで買い出しへ向かへば、故郷で彼と買い出しに向かった時のことを思い出して懐かしい気持ちになる。
「杏寿郎さんと二人で出掛けるのは久しぶりですね」
この前は蜜璃ちゃんと三人、その前は蜜璃ちゃんと千寿郎くんとだったから、二人きりは久しぶりだった。
「そうだな。こうして二人だけで並んで歩くのはAを家に連れてきた日以来だ!」
もうあれから約四ヶ月。
時の流れとは早いものだ。
「私の実家から一緒に買い出しに行った日のこと、覚えてますか?」
「あぁ!」
「あの時の杏寿郎さんったら、私に“様”ではなくて“さん”呼びさせることに凄く拘っていましたね」
くすっと笑うと彼が「むっ」と唸る。
「君と距離が開くみたいで嫌だっだんだ。ただでさえ、あの時は心的にも物理的にも君とは距離があったのだからな!」
「それであんなに一生懸命だったんですか」
「あぁ。そういう君も今では手を繋ぐぐらいでは照れなくなってしまったな!」
きゅっと繋がれた手に力が込められた。
そのあと、にこっと笑うとそっと繋がれた手を持ち上げて見せつけてくる。
「もうっ、…そう言うことは覚えてなくていいのに………」
「とても愛らしかったんだ!忘れるわけがないだろう!」
貴方って人は、そうやって恥ずかしいことをさらりと言う。
「私だって杏寿郎さんの愛らしいところ知ってますからね!」
「む?」
「この前は西瓜の種を顎に付けてましたね!あと、寝顔がとっても可愛らしかったです」
「よもや!まだ覚えていたか!」
「勿論です」
「俺も覚えているぞ!Aの寝顔は見ていて飽きなかった!」
「う…」
何だろう。
先ほどから言えば言うほど言い返されている気がする。
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月見(プロフ) - 莉子さん» 可愛らしく書けていてよかったです!作者も早く二人には祝言あげて欲しくてうずうずしています!でもきっとあともう少しです(^^) (2021年3月10日 21時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
莉子(プロフ) - 夢主ちゃん可愛いですね( ´ ▽ ` )早く祝言あげて欲しいですね。。。 (2021年3月10日 20時) (レス) id: da7568f49d (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - 莉子さん» ありがとうございます!夢主ちゃんには甘い煉獄さんを書いてみたら、自然と優しくなりました(*^^*) (2021年3月1日 12時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
莉子(プロフ) - 煉獄さん優しい。。( ; ; )月見様の煉獄さん大好きです。 (2021年3月1日 12時) (レス) id: da7568f49d (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - 莉子さん» コメントありがとうございます!プロポーズのシーンは悩みながら書いたので、そう言って貰えて嬉しいです!夢主ちゃん、少しずつ成長してます(^^) (2021年2月26日 12時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月見 | 作成日時:2021年2月4日 23時