56.鬼を知らない ページ7
「外出するのは構わない。寧ろこの町に慣れて欲しいからね。でも、顔色が悪いようだ。今日はやめておきなさい」
お義父さんにそう言われてしまい。
今日は屋敷から出られなくなってしまった。
どうしよう………
こんな時に限って月のものが来てしまった。
家の民宿では毎晩縁側でお香を焚いていたけれど、ここの屋敷はそういった習慣がない。
つまりは鬼を知らないのだ。
鬼の存在を知らない人に、それを説明するのは難しい。
試しに鬼についてその場で聞いてみた。
「お義父さん、鬼はご存じですか?」
「鬼?昔話なんかに出てくるやつか。懐かしい。それがどうかしたかな?」
「いえ、何でもありません」
結果は思った通りだった。
はぁ………と、ため息をつく。
明日、…明日になれば外に出掛けられる。
しかし、この町で藤の花の匂袋なんて見つけられるかしら?
一旦、実家に帰る?
けれど、道を覚えてない。
それに人力車で駆けて一時間近く掛かったのだ。
私の足だとどのくらい掛かるのだろう?
藤の花の家紋を掲げた家を見付けて、頼み込もうか…………
色々な考えを巡らせていると、ハルちゃんの声がした。
「どうぞ」と声を掛ければ何時ものように部屋の掃除をしてくれる。
「Aさんお体は大丈夫ですか?」
「えぇ。大丈夫よ」
「まだ、顔色が悪いみたいですけれど………」
「大丈夫。それより、ハルちゃんは御屋敷の近くにどんなお店があるか分かる?」
聞けばハルちゃんが苦笑いを浮かべる。
「私はあまり外には出ないので」
「そう………じゃあ、誰か他に詳しい人いないかな?」
「何か欲しいものでもあるのですか?」
「えぇ。どうしても必要なものがあるの」
藤の花の匂袋がないと落ち着かない。
それがあれば必ず大丈夫という訳ではないけれど、匂いを誤魔化せるだろうし、何よりそれがあるだけで気休めにはなる。
「誰かに頼みましょうか?」
思ってもいなかった提案にいつの間にか伏せていた顔をあげる。
「!………いいの?」
「はい!」
「ありがとう!」
藁にもすがる思いで私はハルちゃんの手を取った。
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月見(プロフ) - 莉子さん» コメントありがとうございます!可愛い女の子の弟子が気になって嫉妬しちゃう夢主ちゃん。私もきっと妬いちゃうなと、思いながら書いてました!このあとの展開を楽しんで頂ければ嬉しいです(^^) (2021年1月27日 20時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
莉子(プロフ) - またまたコメント失礼します!夢主ちゃんの気持ち分かる〜( ; ; )婚約者になっても一緒に居られる時間少な過ぎて、もっとラブラブして欲しいですねぇ!私も絶対甘露寺ちゃんに妬いちゃうと思う。。あんなに可愛いし笑二人の絡みがもっと欲しいです!( ´ ▽ ` ) (2021年1月27日 19時) (レス) id: da7568f49d (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - 莉子さん» コメントありがとうございます!煉獄さんは簡単に意見や思いを曲げない人だと思ったので、一途になって貰いました!夢主ちゃんの変化に気付いて頂けて嬉しいです!彼女は何も告げずに煉獄さんと一度さよならしたことを後悔しているので、気持ちに素直になり始めてます! (2021年1月19日 20時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
莉子(プロフ) - こんにちは^^この作品大好きで、煉獄さんがずっと一途に想っている設定が凄く合ってて、世界観にどっぷり浸かれちゃいます!なかなかすれ違いが長かったので、こうやって両想いになれて本当嬉しいです( ; ; )幸せ!夢主ちゃんも少し変わってきましたよね!ラブラブ (2021年1月19日 19時) (レス) id: da7568f49d (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - 和葉さん» コメントありがとうございます!このあと二人がどうなっていくか、ぜひ楽しみにしていて下さい(^^) (2021年1月15日 19時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月見 | 作成日時:2021年1月3日 14時