83.褒め言葉 ページ34
「あぁ!家では毎朝起きてすぐ稽古をしている!」
彼が努力しているのは分かっていたけれど、とても頑張り屋さんなんだと気付かされた。
「ご飯、もうすぐですから」
「わかった!」
嬉しそうに出ていく背中を見送る。
「Aさん」
不意に呼ばれて振り向くと千寿郎くんが、嬉しそうに私を見ていた。
「この家に来てくれてありがとうございます。兄上のあんな顔、久しぶりに見ました!」
あの人にとって私は特別なんだ。
そう思わせてくれる千寿郎くんの言葉が凄く嬉しかった。
*****
「うまい!うまい!うまい!」
杏寿郎さんがご飯を掻き込んでいく。
「本当に、凄く美味しいです。お米がいつもよりふっくらでツヤツヤしています!」
千寿郎くんは凄くきらきらした顔でもぐもぐ食べてくれていた。
「ふふふっ。ありがとう」
美味しいと言われるとやはり嬉しい。
私も一緒になって三人で食卓を囲んで食べる。
慕っている人とその家族と食卓を囲むのは、こんなにも幸せなのか………と頬が緩む。
「君の手料理は実に久しぶりだが、相変わらずうまい!」
私の顔を見て彼が言うと手にしていた箸と茶碗を置いた。
「A」と呼ばれて私も箸を置く。
長机の角の方に座っている私。
その角を挟んで杏寿郎さんが座っていて、私の向かいには千寿郎くんが座っている。
畳に片手をついて、すっと体を私の隣に移動させた杏寿郎さん。
「どうしたんですか?」
尋ねた途端、ガシッと私の両手を掴んだかと思うときゅっと握られた。
驚いていると彼が私の目を捉えてぱちっと視線が合う。
「これから毎日君の手料理を食べられると思うと幸せだ!本当に嬉しく思う!!」
「ほ、褒めすぎです…」
かあああっと一気に顔に熱が籠る。
きっと今の私は顔が真っ赤に違いない。
耐えられなくて俯くとばっと抱き締められた。
「わっ!」
「いくらでも褒めよう!それほどうまい!本当にありがとう!!」
「ちょっ、ご飯の途中ですよ…」
「そうだった!嬉しくてつい!」
そっと離されると彼が席に戻った。
私も座り直して、前を見ると千寿郎くんが気まずそうに顔を赤くしている。
それを目にすると余計に恥ずかしい。
「そうだ!言いそびれていたが、明日から弟子が来る!」
「お弟子さんですか?」
そう言えば、以前貰った文にもうすぐ弟子を取ると書いてあった、と思い出す。
「騒がしくなると思うがよろしく頼む!」
そう言った彼に「分かりました」と頷いた。
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月見(プロフ) - 莉子さん» コメントありがとうございます!可愛い女の子の弟子が気になって嫉妬しちゃう夢主ちゃん。私もきっと妬いちゃうなと、思いながら書いてました!このあとの展開を楽しんで頂ければ嬉しいです(^^) (2021年1月27日 20時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
莉子(プロフ) - またまたコメント失礼します!夢主ちゃんの気持ち分かる〜( ; ; )婚約者になっても一緒に居られる時間少な過ぎて、もっとラブラブして欲しいですねぇ!私も絶対甘露寺ちゃんに妬いちゃうと思う。。あんなに可愛いし笑二人の絡みがもっと欲しいです!( ´ ▽ ` ) (2021年1月27日 19時) (レス) id: da7568f49d (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - 莉子さん» コメントありがとうございます!煉獄さんは簡単に意見や思いを曲げない人だと思ったので、一途になって貰いました!夢主ちゃんの変化に気付いて頂けて嬉しいです!彼女は何も告げずに煉獄さんと一度さよならしたことを後悔しているので、気持ちに素直になり始めてます! (2021年1月19日 20時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
莉子(プロフ) - こんにちは^^この作品大好きで、煉獄さんがずっと一途に想っている設定が凄く合ってて、世界観にどっぷり浸かれちゃいます!なかなかすれ違いが長かったので、こうやって両想いになれて本当嬉しいです( ; ; )幸せ!夢主ちゃんも少し変わってきましたよね!ラブラブ (2021年1月19日 19時) (レス) id: da7568f49d (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - 和葉さん» コメントありがとうございます!このあと二人がどうなっていくか、ぜひ楽しみにしていて下さい(^^) (2021年1月15日 19時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月見 | 作成日時:2021年1月3日 14時