82.朝食の用意 ページ33
「Aさんっ!?」
翌朝、早起きをして台所に立っていると千寿郎くんが驚いた顔で入ってきた。
「あ、千寿郎くん。おはようございます」
味噌汁の具を刻んで、合間に火加減を見ながら釜でご飯を炊いていた手を止めて立ち上がる。
「ゆっくりしていてください。朝食なら僕が………」
「私、杏寿郎さんの婚約者としてここへ来たんですよ?今日から私にさせてください。それに、ご飯は実家の民宿で沢山作ってましたから得意なんです!」
おろおろと私を見ていいかけた少年に向かって、自信満々にむんっと腕捲りをして見せる。
千寿郎くんは一瞬呆気に取られたかの様な表情を見せたけれど、納得したように私を見た。
「では、ご一緒してもいいですか?」
「えっ?」
それは一緒に料理がしたいと言うこと?
きょとんと見ていると、その目は輝いて見えた。
千寿郎くんは料理が好きなのかもしれない。
「では、今日から一緒に作りましょう」
頷くと嬉しそうに頷き返してくれた。
「それにしてもAさん、朝は随分お早いんですね」
「あ…これは、実家にいた頃からの癖です」
体調を崩したとき以外は毎日早朝に起きるのが当たり前だったので、自然と同じ時間に目が覚めていた。
「勝手に食材を使ってしまったんですけど、大丈夫でした?」
「はい!大丈夫です」
「杏寿郎さん沢山食べるからと思って、お味噌汁とご飯多めにしてみたんだけれど、これぐらいで足ります?」
これから鍋に入れようとしている食材を見せると頷いてくれた。
ご飯は………
炊いている途中なので開けることは出来なかったが「釜にいっぱい入っていれば、十分ですよ」という言葉を聞いてホッとした。
「うまそうな匂いだ!」
その後、二人で準備しているとご飯の匂いに吊られたらしい杏寿郎さんがやってきた。
稽古着姿の彼を振り返る。
「杏寿郎さん、おはようございます」
「兄上、おはようございます」
「二人とも、おはよう!」
朝だというのに彼はいつものように声が大きい。
目覚めが凄くいいらしい。
「A、良く眠れたか?」
彼が私の方に歩いてくると顔を覗き込んで来る。
「えぇ。昨日はゆっくりさせて頂いたので、とっても」
笑いかけると頭を撫でられた。
千寿郎くんの前なのに、と思うと恥ずかしい。
「杏寿郎さんは朝からお稽古ですか?」
稽古着姿が気になって尋ねる。
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月見(プロフ) - 莉子さん» コメントありがとうございます!可愛い女の子の弟子が気になって嫉妬しちゃう夢主ちゃん。私もきっと妬いちゃうなと、思いながら書いてました!このあとの展開を楽しんで頂ければ嬉しいです(^^) (2021年1月27日 20時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
莉子(プロフ) - またまたコメント失礼します!夢主ちゃんの気持ち分かる〜( ; ; )婚約者になっても一緒に居られる時間少な過ぎて、もっとラブラブして欲しいですねぇ!私も絶対甘露寺ちゃんに妬いちゃうと思う。。あんなに可愛いし笑二人の絡みがもっと欲しいです!( ´ ▽ ` ) (2021年1月27日 19時) (レス) id: da7568f49d (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - 莉子さん» コメントありがとうございます!煉獄さんは簡単に意見や思いを曲げない人だと思ったので、一途になって貰いました!夢主ちゃんの変化に気付いて頂けて嬉しいです!彼女は何も告げずに煉獄さんと一度さよならしたことを後悔しているので、気持ちに素直になり始めてます! (2021年1月19日 20時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
莉子(プロフ) - こんにちは^^この作品大好きで、煉獄さんがずっと一途に想っている設定が凄く合ってて、世界観にどっぷり浸かれちゃいます!なかなかすれ違いが長かったので、こうやって両想いになれて本当嬉しいです( ; ; )幸せ!夢主ちゃんも少し変わってきましたよね!ラブラブ (2021年1月19日 19時) (レス) id: da7568f49d (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - 和葉さん» コメントありがとうございます!このあと二人がどうなっていくか、ぜひ楽しみにしていて下さい(^^) (2021年1月15日 19時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月見 | 作成日時:2021年1月3日 14時