81.紹介 ページ32
「千寿郎、紹介しよう!婚約者のAだ!」
「初めまして蓮華Aです。今日からよろしくお願いします」
ペコリと頭を下げると、千寿郎くんも同じように頭を下げてくれる。
彼がお茶やお茶菓子まで用意してくれた。
すごく丁寧で、気遣いに長けた子だと思った。
「遅かったので、何かあったのかと心配しました」
眉を下げた千寿郎くん。
その顔まで杏寿郎さんそっくりだとは………
「あぁ、ごめんなさい。私が列車に酔ってしまって…」
苦笑いを浮かべると「もう大丈夫なんですか?」と、くりっとした目が心配そうに覗き込んでくる。
「えぇ」と頷くと「それは良かったです」とにっこり笑ってくれた。
か、可愛い。
杏寿郎さんと結婚したらこの子は私の弟になるのか………
私は末っ子だったから、年下の弟が出きると思うと何だか落ち着かないな。
「長旅で疲れただろう!今日はゆっくり休むといい!」
「部屋を案内する」と立ち上がった杏寿郎さんの羽織を私は引っ張る。
「あの……杏寿郎さん?……お義父さんへのご挨拶がすごく簡単に終わってしまいましたけれど、大丈夫でしょうか?」
「あぁ、気にしないでくれ。もうずっとああなんだ」
お義父さんの元へ挨拶へ行くと、まだ昼間だというのに布団の上に横になって何やら書物を読んでいるところだった。
その傍らには酒瓶が転がっていて、荒れた様子が窺える。
私が名乗ると漸く振り返ったその人は記憶よりも随分老けて見えた。
挨拶をして父と母から預かっていた文を差し出すと「あの時の娘か………」と驚いた顔をしていた。
「よろしくお願いします」と言った私に「あぁ…」と何とも気のない返事だったけれど、追い返される事はなくてホッとした。
あまり良く覚えている訳では無いけれど、あの頃に比べると情熱を無くされていて、心苦しくなる。
『次の年も本当は来てくださるはずだったんだけど、奥様が体調を崩されてね。亡くなられてからは、槇寿郎さん塞ぎ込んでしまわれたのか、任務で来ることも無くなったわ』
以前、母が言っていた、そんな言葉が頭に甦る。
それほどまでに気落ちされてしまったのだろうか………
なんて、分かりもしない事を私は考えた。
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月見(プロフ) - 莉子さん» コメントありがとうございます!可愛い女の子の弟子が気になって嫉妬しちゃう夢主ちゃん。私もきっと妬いちゃうなと、思いながら書いてました!このあとの展開を楽しんで頂ければ嬉しいです(^^) (2021年1月27日 20時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
莉子(プロフ) - またまたコメント失礼します!夢主ちゃんの気持ち分かる〜( ; ; )婚約者になっても一緒に居られる時間少な過ぎて、もっとラブラブして欲しいですねぇ!私も絶対甘露寺ちゃんに妬いちゃうと思う。。あんなに可愛いし笑二人の絡みがもっと欲しいです!( ´ ▽ ` ) (2021年1月27日 19時) (レス) id: da7568f49d (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - 莉子さん» コメントありがとうございます!煉獄さんは簡単に意見や思いを曲げない人だと思ったので、一途になって貰いました!夢主ちゃんの変化に気付いて頂けて嬉しいです!彼女は何も告げずに煉獄さんと一度さよならしたことを後悔しているので、気持ちに素直になり始めてます! (2021年1月19日 20時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
莉子(プロフ) - こんにちは^^この作品大好きで、煉獄さんがずっと一途に想っている設定が凄く合ってて、世界観にどっぷり浸かれちゃいます!なかなかすれ違いが長かったので、こうやって両想いになれて本当嬉しいです( ; ; )幸せ!夢主ちゃんも少し変わってきましたよね!ラブラブ (2021年1月19日 19時) (レス) id: da7568f49d (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - 和葉さん» コメントありがとうございます!このあと二人がどうなっていくか、ぜひ楽しみにしていて下さい(^^) (2021年1月15日 19時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月見 | 作成日時:2021年1月3日 14時