77.負けない気持ち ページ28
「皆、Aが店に来て話すのを楽しみにしていたと言っていた」
「それ、いつ聞いたんですか?」
「まだ君が隣町に行ったことを知らなかったときだ。君が居なくなったと知って聞き込みをしていると、自然とそんな話しが出てきた」
皆、私が来るのを楽しみにしてくれていたんだ………
ふと、静子さんの言葉を思い出す。
『まぁ、みづきちゃんは人気者ですからね。私が買い出しに行くと必ず「みづきちゃんはどうしたの?風邪ですか?」なんて、とても心配そうに聞かれますから』
この町の人は優しいな。
「私、この町が好き」
「俺もだ!」
「皆、優しくて暖かいから」
「離れるのが嫌になってしまったか?」
不安げに杏寿郎さんの眉が下がる。
いつもは自信に溢れているのに。
可愛いな、なんて思ってしまう。
「少し…」
「それは困った!」
「でも、貴方のことはもっと好き………」
正直な気持ちを口にすると、はっと彼の目が見開かれた。
驚いている顔を見て、私も慌てて繋いでいない方の手で口元を覆う。
私ったら、何言ってるんだろう……
ぽろっと溢れた言葉に頬が熱くなっていくのを感じていると大きな声が降ってくる。
「俺もAのことが好きだ!この気持ちは君にも負けない自信がある!!」
「っ!?」
「まだこの気持ちが何かを知らない頃から、何年も君を想っていたのだからな」
いつの間にか自信を取り戻したその顔はとても頼もしくて。
嬉しそうに笑いかけてくるから、更に頬が熱を持つ。
「もう!そう言うことは大きな声で言わないで下さい。それもこんな人が多い場所で…」
ちらちらと通行人の視線が刺さる。
顔見知りの店主からはひゅーなんて茶化される始末だ。
は、恥ずかしい。
こんなところでやめて欲しいと思う反面、やっぱり嬉しいと思う。
気持ちを言葉にしてくれる彼が堪らなく好きだ。
「やはり、恥じらう君も愛らしい!好きだ!」
だから、こんなところではやめて欲しいと言ったのに………
私の気も知らずに、構わず続ける杏寿郎さん。
私が心から嫌がっていないのを分かっているからだ。
見透かされているのが悔しい。
「ほ、ほら、早く行きましょう!列車に遅れてしまいますよ!」
誤魔化すようにふいっと顔をそらして私は歩みを早める。
そんな私を見て隣を歩く彼「ははは!」と楽しそうに笑っていた。
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月見(プロフ) - 莉子さん» コメントありがとうございます!可愛い女の子の弟子が気になって嫉妬しちゃう夢主ちゃん。私もきっと妬いちゃうなと、思いながら書いてました!このあとの展開を楽しんで頂ければ嬉しいです(^^) (2021年1月27日 20時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
莉子(プロフ) - またまたコメント失礼します!夢主ちゃんの気持ち分かる〜( ; ; )婚約者になっても一緒に居られる時間少な過ぎて、もっとラブラブして欲しいですねぇ!私も絶対甘露寺ちゃんに妬いちゃうと思う。。あんなに可愛いし笑二人の絡みがもっと欲しいです!( ´ ▽ ` ) (2021年1月27日 19時) (レス) id: da7568f49d (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - 莉子さん» コメントありがとうございます!煉獄さんは簡単に意見や思いを曲げない人だと思ったので、一途になって貰いました!夢主ちゃんの変化に気付いて頂けて嬉しいです!彼女は何も告げずに煉獄さんと一度さよならしたことを後悔しているので、気持ちに素直になり始めてます! (2021年1月19日 20時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
莉子(プロフ) - こんにちは^^この作品大好きで、煉獄さんがずっと一途に想っている設定が凄く合ってて、世界観にどっぷり浸かれちゃいます!なかなかすれ違いが長かったので、こうやって両想いになれて本当嬉しいです( ; ; )幸せ!夢主ちゃんも少し変わってきましたよね!ラブラブ (2021年1月19日 19時) (レス) id: da7568f49d (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - 和葉さん» コメントありがとうございます!このあと二人がどうなっていくか、ぜひ楽しみにしていて下さい(^^) (2021年1月15日 19時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月見 | 作成日時:2021年1月3日 14時