72.打ち明ける ページ23
「え、い、いま………!」
「うむ!君の頬に接吻した!」
「!!」
その言葉にかあああっと頬に熱が集まる。
「き、急にはやめてください!」
「ん?では急でなければいいのか?」
「そ、そう言うわけでは………」
どう返せば良いか分からなくて目が泳ぐ。
「はははっ!愛らしいな!」
「っ〜!!」
こう言うときは何て返すのが正解なんだろう。
赤い顔のまま彼の腕の中で考えていると、私を見る煉獄さんの目がじぃっと一点に集中する。
「………一ついいか?」
少し前まで笑っていたのに、どこか真剣な眼差しに身構える。
「な、何です?」
「…いや、やっぱりやめておく!!」
そう言って、強く目を閉じてぐっと拳を握った彼。
煮え切らないその様子に「煉獄さん…?」と呼ぶと、意を決したようにカッと目を見開いて勢い良く聞いてくる。
「やはり気になるので聞いてもいいだろうか!!」
な、何だろう?
どこか焦りにも似た態度に戸惑いながら「えぇ」と頷くと、彼の手が私の首元の髪を退けた。
そして、首筋をそっとなぞられる。
「ひ…!!」
体が強張る。
何故なら、その場所にはまだ記憶に新しい感触が残っているからだ。
「君の部屋に入ったときから気になっていた。…これは、どうした?」
「………っ!」
何か言わなきゃ、
そう思うのに声が出ない。
「………すまない。言いたくなければ、言わなくていい」
そっと煉獄さんが私の頭を引き寄せて胸の中に私を納める。
私はそのまま彼に身を預けた。
腕を擦ってもらって、初めて体が震えているのに気が付く。
ぎゅっと自分の首元に手を持っていって、着物の合わせの辺りを掴んだ。
「嫌いに………ならないで」
「嫌いになる訳がないだろう」
ゆっくりと擦ってくれてていた手が腕を伝って手元に降りてきた。
すっと私の手を取ると彼が私の手の甲に口付ける。
「ん…」
少し擽ったくて彼を見上げた。
「約束だ!」
いつかの時のように、真っ直ぐで力強い煉獄さんの目が、私の瞳を覗き込んでいる。
「責任は必ず取ると言っただろう」
じわっと目元が熱くなった。
だから、怖かったけれど打ち明ける覚悟を決める。
「は、じめ…さんが………」
ぎゅっと握っていた合わせを少し引っ張って下げた。
隠していたもう一つを見せると、煉獄さんの目が大きく見開かれた。
「よもや…!」
「ごめんなさい……」
「君の意思ではないのだろう?」
その言葉に大きく頷く。
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月見(プロフ) - 莉子さん» コメントありがとうございます!可愛い女の子の弟子が気になって嫉妬しちゃう夢主ちゃん。私もきっと妬いちゃうなと、思いながら書いてました!このあとの展開を楽しんで頂ければ嬉しいです(^^) (2021年1月27日 20時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
莉子(プロフ) - またまたコメント失礼します!夢主ちゃんの気持ち分かる〜( ; ; )婚約者になっても一緒に居られる時間少な過ぎて、もっとラブラブして欲しいですねぇ!私も絶対甘露寺ちゃんに妬いちゃうと思う。。あんなに可愛いし笑二人の絡みがもっと欲しいです!( ´ ▽ ` ) (2021年1月27日 19時) (レス) id: da7568f49d (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - 莉子さん» コメントありがとうございます!煉獄さんは簡単に意見や思いを曲げない人だと思ったので、一途になって貰いました!夢主ちゃんの変化に気付いて頂けて嬉しいです!彼女は何も告げずに煉獄さんと一度さよならしたことを後悔しているので、気持ちに素直になり始めてます! (2021年1月19日 20時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
莉子(プロフ) - こんにちは^^この作品大好きで、煉獄さんがずっと一途に想っている設定が凄く合ってて、世界観にどっぷり浸かれちゃいます!なかなかすれ違いが長かったので、こうやって両想いになれて本当嬉しいです( ; ; )幸せ!夢主ちゃんも少し変わってきましたよね!ラブラブ (2021年1月19日 19時) (レス) id: da7568f49d (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - 和葉さん» コメントありがとうございます!このあと二人がどうなっていくか、ぜひ楽しみにしていて下さい(^^) (2021年1月15日 19時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月見 | 作成日時:2021年1月3日 14時