65.夢か現実か ページ16
さっき打ち付けたところがずきずきする。
「い、痛い………煉獄さん、痛いです」
「む!すまない!!」
彼がそっと私から体を離して両肩に手を置く。
「だが、痛いなら現実だな!!」
ぽんっと彼が私の肩を叩いた。
それは自分で確かめるものでは?
そう思ってくすっと笑う。
仕方ないので、手を伸ばして彼の頬をむにっとつねってみた。
「痛いですか?」
「あまり痛くないな!」
「えぇ…じゃあ夢かもしれないですね」
「む!それは困る!」
そう言うと頬を摘まんでいる私の手を下ろさせると、パチンと両手で自分の頬を叩き出す。
「うむ!ちゃんとひりひりするから夢じゃないぞ!」
子どもみたいな行動に私はまた笑う。
変な人。
でも、そんなところも愛おしく感じてしまう。
「Aさん」
不意に後ろから声が掛けられた。
振り返ると困ったように眉を寄せたお義父さんの姿があった。
「君たちの仲について、話を聞かせてもらえるかい?」
「あ………」
お義父さんに、きちんと話さないといけない。
「お義父さん………、私は彼と…こちらの煉獄さんとは肇さんと出会う前に、出会いました。でも、そのときの私は自分の気持ちを理解していなかったんです。だから………」
いいかけたとき、後ろから怒鳴るような声が響いた。
「お、俺はお前たちを!認めない!!認めないぞ!」
走ってきた肇さんが、私たちを指差して言う。
ぐいっと私の腕を掴んで体を引っ張られる。
「きゃ!」
私の首に腕を回した肇さんに後ろから抱き付かれた。
「こいつはもう俺の女なんだ!今更お前に返してやるつもりはない」
「っ、肇さん…痛い、……離して」
「肇!やめないか」
お義父さんが制止するけれど、彼は聞かない。
ぐっと力が強くなる。
「う、」
息が苦しくて顔が歪む。
そんな私を見ている煉獄さんの表情も歪んでいる。
「彼女が苦しそうだ!頼むから離してやってくれ!」
「お前に、渡さない!」
「ぅ……」
「肇!」
お義父さんが私を絞めている彼の腕を掴んだ。
「少し冷静になりなさい!」
その言葉でやっと解放された。
膝をついてごほごほと咳き込む。
「大丈夫か!」
駆け寄ってくれた煉獄さんが背中を擦ってくれた。
頷いて、差し伸べられた手を掴んで立ち上がる。
「どうやら話を聞くまでもないようだ」
お義父さんのそんな柔らかい声が聞こえて振り向くと、悲しそうに私を見ていた。
「倅が君たちを引き裂いてしまったようだね」
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月見(プロフ) - 莉子さん» コメントありがとうございます!可愛い女の子の弟子が気になって嫉妬しちゃう夢主ちゃん。私もきっと妬いちゃうなと、思いながら書いてました!このあとの展開を楽しんで頂ければ嬉しいです(^^) (2021年1月27日 20時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
莉子(プロフ) - またまたコメント失礼します!夢主ちゃんの気持ち分かる〜( ; ; )婚約者になっても一緒に居られる時間少な過ぎて、もっとラブラブして欲しいですねぇ!私も絶対甘露寺ちゃんに妬いちゃうと思う。。あんなに可愛いし笑二人の絡みがもっと欲しいです!( ´ ▽ ` ) (2021年1月27日 19時) (レス) id: da7568f49d (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - 莉子さん» コメントありがとうございます!煉獄さんは簡単に意見や思いを曲げない人だと思ったので、一途になって貰いました!夢主ちゃんの変化に気付いて頂けて嬉しいです!彼女は何も告げずに煉獄さんと一度さよならしたことを後悔しているので、気持ちに素直になり始めてます! (2021年1月19日 20時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
莉子(プロフ) - こんにちは^^この作品大好きで、煉獄さんがずっと一途に想っている設定が凄く合ってて、世界観にどっぷり浸かれちゃいます!なかなかすれ違いが長かったので、こうやって両想いになれて本当嬉しいです( ; ; )幸せ!夢主ちゃんも少し変わってきましたよね!ラブラブ (2021年1月19日 19時) (レス) id: da7568f49d (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - 和葉さん» コメントありがとうございます!このあと二人がどうなっていくか、ぜひ楽しみにしていて下さい(^^) (2021年1月15日 19時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月見 | 作成日時:2021年1月3日 14時