この世界は不条理で。93 ページ11
冬美「夕ご飯、できたわよ」
その声に、私は振り向いた
"何読んでいるの？"とお姉さんが部屋の中へと入ってきて
持っていた本を見た
冬美「それ、Aが大事にしていた本ね」
ただ、1冊ずつ置かれていた場所から
取って戻しての繰り返しをしていただけだったが
お姉さんは勘違いをしてる
冬美「″他の本にしたら？″って言っても聞かなかったのよ
貴女に買ってあげた1番最初の本」
″本を見せて″と言われ、手渡しをすると
お姉さんは″やっぱり、今の私でも難しいな″と苦笑いしていた
その本は、単なる化学についての本だ
難しくはない
何を混ぜればアンモニアが発生するのか、
色々なことへと結びつく便利な代物だ
不思議と今まで手に取った本すべてが
内容全部を覚えていた
冬美「…あら、ここのページ」
そう言ったお姉さんは、
ページを私に見せてきた
そのページは乱雑に破られていた
…だけど、内容は覚えている
脳裏にスラスラと流れるその記憶に、
断片的だが″何か″が見えた
それは、あの男の人ともう1人と霧っぽい何か
急に痛む頭に思わず抱える
冬美「大丈夫…！？」
寄り添ってくるお姉さんに、
一拍遅れて″大丈夫です″と言うと
″ご飯を食べて今日はもう寝ようね″
と言われた
冬美「さーて、ご飯ご飯」
本を机に乗せて、
私を先導するように部屋を出て行った
後を追って車椅子で移動をする
…腕だけ筋肉が鍛えられそうだ
食卓を見ると、
そこに置いてあったものに一気に食欲が失せた
A「人参…
トマト……」
冬美「好き嫌い言わないの！」
そう言われ、
″いただきます″と手を合わせ、
向かい合ってご飯を食べ始める
病院食よりは幾分と食べやすくて、
味も懐かしいものだった
…人参とトマトさえなければ完璧だと思ったのは
ここだけの話
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冷燈（れいひ） - 色々ミスりました。改めて、とても面白かったです (2021年12月21日 22時) (
レス) @page16 id: d89adcd8f7 (このIDを非表示/違反報告)
冷燈（れいひ） - なんでもないです (2021年12月21日 21時) (レス) id: d89adcd8f7 (このIDを非表示/違反報告)
冷燈（れいひ） - 神作品だと思いました。ただ、誰サイドとか、書いたほうがわかりやすいと思います。燈矢（荼毘）とはやくかかわせた (2021年12月21日 21時) (レス) @page23 id: d89adcd8f7 (このIDを非表示/違反報告)
シロナ - すごく面白い！この作品大好きです！応援してます！更新待ってます！ (2020年7月11日 12時) (レス) id: 9abb99f391 (このIDを非表示/違反報告)
松城美樹(プロフ) - ゆくさん» ｱｱｱｱｱｱ、コメントありがとうございます！近々、また更新する予定なので、楽しみに心待ちしていただけるとありがたいです！ (2020年1月26日 22時) (レス) id: 47911afd1d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：松城美樹 | 作者ホームページ：https://twitter.com/matsushiro_m
作成日時：2019年2月2日 14時
