手作りイチゴジャム ページ19
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そう言われてしまえば、従うほかない。
剣持さんから貰ったクレープを口に運ぶ。
甘ずっぱい香りが鼻を抜けた。
『イチゴだ…！』
イチゴなんて、久々に食べた。
小さいころ、大好きだったなぁ。
剣「僕のオススメです。
イチゴクリームと、手作りイチゴジャムのクレープ。
いかがですか？」
彼はもう一度同じイチゴのクレープをつくると、
もぐもぐと幸せそうな顔を浮かべた。
イチゴ好きなんかな…
伏「オレはこの、
アボカドポテチが好きっすね！」
食べかけのクレープをぐいと突き出し、
オススメしてくれる伏見さん。
黄緑色のソースと黄色いつぶののったクレープだ。
黄色は砕いたポテトチップスだったらしい。
３人で盛り上がりながらクレープを食べ、
あっという間に、最後の１枚になってしまった。
本日のシェフが口を開く。
剣「…あなたがそんな不健康な食生活を続けているのは、
食事を楽しめていないからです。」
ちょっと怒ったようにそう言うと、
剣持さんは唇を尖らせた。
頬に刺激を感じ右を向けば、
じとーっと目を細めた伏見さんが私の頬をつついている。
伏「まぁたカップ麺ばっかり食べてたんだろ？
肌荒れてるっすよ〜」
図星である。
何も言い返せない。
じぃ、と2人から見つめられ、
私は小さくなった。
『えーと、善処します…』
ぷるぷると震えながらそういえば、
２人はこらえきれない、というように噴き出した。
伏「まぁ、楽しむって他人に強制されるモノでもないしな！」
剣「今日は楽しめてたみたいですし、
また店に来たらどうです？歓迎しますよ。」
最後のクレープを口に突っ込まれ、
私は目を白黒させる。
物理的な理由で言葉を返せず、
もぐもぐと食べ進めるしかない。
ごくり、と私の喉が上下したのを見て
剣持さんが口を開いた。
剣「…食べ終わったみたいですね。
じゃあ、手を合わせてください。」
ごちそうさまでした。
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作者名：まつくぐり | 作成日時：2023年4月30日 21時
