メシとの再会 ページ13
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雨、降ってる。
絶望という言い方は、
ちょっと大げさに聞こえるかもしれない。
しかし、
傘を持っていない状況、
部活帰りで満身創痍の肉体、
ここから家まで10分強。
普通にキツい。
晴れていたとしても、
帰りに野垂れ死なない保証はないのだ。
いわんや、雨天をや。
絶望の表情で天空を見上げれば、
星がきらりと輝いた。
アレ？
瞬きする。
星は消えない。
しかし雨は降っている。
お天気雨。
もしくは、狐の嫁入ーーー
伏「こんばんは、お客さん！
偶然っすねぇ、こんなとこで会うなんて。
ーーAちゃんだったか？」
見上げた視界に、
突如として満面の笑みが現れる。
驚きで私は跳ねた。
肩を震わせ、振り向く。
『…ビビりましたよ、伏見さん。
私がマンボウだったら死んでますからね。』
後ろには予想通り、伏見さんが立っていた。
彼は、私を後ろから覗き込むような形で
声をかけてきたのである。
１回店に来たお客という程度の相手への
声のかけ方じゃあない。
絶対におかしい。
念願のメシとの再会…違った、
店長との再会なのに、
私の心臓は、死にかけの状態で
どっこどっこと跳ねまわっている。
伏見さんは、
イヒヒヒヒヒヒ！と
これまた恐怖を煽るような笑い方をした。
伏「傘、持ってないんだろ？
オレのでよけりゃ入っていったらどうだ？
家まで…はちょっとよろしくないか。
近くまで送るぜ！」
伏見さんは、
成人男性がＪＫの家にってのはちょっとぉ…
と、口の中でもしょもしょと続けた。
照れているようだが、
ほとんど初対面みたいな人と相合傘、ってのには
違和感とか抵抗とかないんだろうか。
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作者名：まつくぐり | 作成日時：2023年4月30日 21時
