つめたいフリの裏側は [赤]

#33 ページ33

.









夏休みも半ば。



今日は未沙と、買い物にきている。



なんでこんなにでっかいショッピングセンターに来ているかというと、













「あった！！」


「...ウソ」


「なにがよ」


「ほぼ糸と布じゃん」


「そりゃ水着なんだからそーでしょうよ」












やたら布の面積が少ない、水着を買うため。












去年は海もプールも行かなかったから、



体育祭委員の打ち上げでいく海用の水着がない。



未沙に付き合ってもらって、来たのはいいものの...














未沙が選んでくるのはやたら過激なのばっかりで、



できるだけ、布の面積が広いものを選ぶことにする。















「あぁぁ水着着たくない」


「ばっちり持ち物の欄に書いてあるよ、『水着』って」


「なんならアンダーライン引いてあるよ」


「...わかってるよ」















夏休みに甘やかしすぎた身体なんかを、



しげおかの前で晒したくない。



あと一週間、ダイエットするか...













比較的布の面積が広い水着を選んで、



おなじショッピングセンターにあるカフェで休憩。



向かいでアイスミルクティーを吸い込んだ未沙がため息をつく。














「あー青春したい」


「え！？してるじゃん」


「甘いな」















チッチッ、と指を目の前で振られる。



「海！プール！祭り！」



行ってない、とうなだれる未沙。

















「えー、小瀧と行ってないの？」


「さらに追い討ちかけないで...」











てっきり2人で行ったもんだと思ってたのに。














「Aは？一緒に行く相手とか！いないの！？」


「いないわ」


「じゃー好きな人」












完全に、警戒してなかったところから矢が飛んで来た。
















「え！？」


「ない！ないないない！いない！」












ひっくり返る声と、



意思とは裏腹にかぁっと血がのぼる頰。



「絶っっっ対嘘でしょ」










.

#34→←#32

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す