つめたいフリの裏側は [赤]

#19 ページ19

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「え、なんで！？なんできたの！？」



煩い、と顔を顰める藤井くん。














「あんたが来い来いってうるさいし、」


「ちょっとその気になったから？」













なにその言い方、とちょっとムッときたものの、



なにはともあれ、これで綱引きは全員揃った。



名簿には欠席のバツが一つもない。













「はじめるよー！」



というとすぐに、



ガタイのいい男子は綱の準備を始めてくれる。











いい具合にまとまってきたんじゃない？













藤井くんも、「仕方ないからきてやった」



みたいなことを言っていた割には全力でやっていた。














今まで一番いい練習になったんじゃないかな。













全員が揃うようになった練習で、数日がたったころ。



練習終わりに、藤井くんがなにやらニヤニヤしながら近づいてきた。

















「なあ、俺がなんで練習きたか、教えてやろっか」



ちらちらと目線を送る先は、



綱の片付けを手伝っていた副チーフのしげおか。











...結局気まずいままだなぁ、そういえば。

















「なに？」


「え、知りたい？」


「もう、そういうのいいから早く教えてよ」


「俺、重岡に、なんや真剣に説得されたんやけど」


「え、しげおかに！？」












しぃーっ、と声を抑えるようジェスチャーで怒られた。













「なーんか、やけに必死やったんやけど」


「お願いだからきてくれって」













...知らなかった。



イジワルな笑みを浮かべる藤井くん。













「藤井くん、ありがと」


「佐野さん！」


「ん？」


「来たったからさ、こんくらいは言うてもええよな」


「なによ」


「重岡な、」


「佐野にだけは俺が説得したこと言うなってさ」











胸がじわっと熱くなった。



なんでかな、なんでかな、



最近私が困った時って全部しげおかに救われてる気がする。
















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