つめたいフリの裏側は [赤]

#46 ページ46

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春風が吹き、ひだまりがぽかぽかと暖かい季節。









窓の外では桜の花びらがひらひらと舞い、



ちょうちょが飛び回るころ。



私たちは、








__________大学に入学した。









あの夏。



しげおかがいなくなった夏から、



もう1年半もたつ。









あれから電話もメールもなにもかもつながらなくて、



糸は切れてしまった、と思っている。



...そう割り切らないと辛いから。












高校と同じように、校長の話が長い入学式。



終わって伸びをすると、



慣れない硬いスーツで、凝っていた肩がばきばきと鳴った。










馴染んでいない空気。



派手めの男子たちが「カラオケ行こーぜ！」と騒ぎ始める。



あぁ、やっぱりどこでも始まりは同じなんだ。










...さっさと帰ろう。



しげおかを思い出すとまだ胸は苦しい。



そそくさと教室を出ようとした私の鞄が、



誰かの手によってぐいっと引っ張られた。












「...やっぱ未沙か......」


「ね、カラオケ誘われたんだけどあんたも行くでしょ」


「いかな...」


「ねーAも行くって！」


「はぁ！？っちょ、行かないから！」


「これを機に男子と仲良くなるの！！」


「大丈夫、いるだけでいいんだから！」












小声で付け足される。



「しげのこといつまで引きずるの、」



「いいかげん切り替えて新しい出会い求めな」












結局未沙とは同じ大学に進んだ。



...何年一緒にいるんだか。











だからやっぱり逆らえなくて、










「ほな行くで！！」



結局カラオケに行く勢について教室を出た。











高校のときと笑えるくらい同じだ。



さすがに未沙は私の隣にいるけど。











「いいことあるかもよ、」


「え？」







意味深な含み笑い。








「もう、いっつもそうやって釣るんだから」


「Aは行ってよかったって思うと思うよ」












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