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「Aも、ハンター試験受けたいの？」
『えっ…』
ゴンにハンターになると告げた晩、そろそろ寝ようと思い2階に上がろうとした所、ミトに声を掛けられた。
これはもしかしなくても今朝のゴンとの会話を聞かれていたか。
近い内に自分の口から告げなければいけない事だったが、その準備がAにはまだ出来ていなかった。
「ごめんね、今朝の話、聞いちゃったの」
『ごめんなさい…私っ…！』
「謝らないで、当然だもの。両親に会いたいと思うのは…」
『ミトさん……。私ね、両親に会いたいのもそうなんだけど、もっと大事な事を忘れている気がするんだ…』
「大事な事…？」
『うん…それこそ何か思い出している訳じゃないから勘…の様なものなんだけど…何か思い出さなきゃいけない事がある…』
「……あなたがこの家に最初に来た日の事、昨日のように思い出せるの」
『…………』
「初めて見た時は本当に驚いたわ。それこそ心臓が止まるかと思った」
そう言って笑うミト。
それもそうだ、息子が突然傷だらけで意識の無い人間を連れてきたら誰だって驚く。
「意識が戻ってホッとしたら今度は記憶が無いって言うんだもの、人生であんなに驚いた日はないわよ」
なんだか途端にいろいろ申し訳なくなる…。
「けど、あなたが来てからこの家はもっと明るくなった。私も子供がもう一人出来たみたいでとても楽しかった」
『…………』
「ありがとう、A」
『そんなっ…お礼を言うのは私の方でっ…！私、ミトさんが、ゴンが居なかったら死んでたかもしれない…！それに、得体の知れない人間を3人は温かく迎え入れてくれた…！お世話してくれたっ…！だからっ…！』
「ふふっ、ありがとう、A」
『ミトさん…！私…！』
涙を流すAをミトは優しく抱き締める。
「大好きよ、A。だから私はあなたを離したくないけど……、けど、あなたを止める権利はないわ」
『私もっ…！ミトさんの事…大好き…大好きだよっ…！』
『ありがとう…！ありがとうミトさん…！』
Aは久々に思い切り泣いたような気がした。
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作者名：抹茶パイン | 作成日時：2019年9月18日 18時
