壁をブチ壊せ！�� ページ18
窪谷須くんが話す度に香る煙草の匂い。
昔は嫌いだった煙草の匂い。
なのに何故か窪谷須くんのだけは落ち着く。
「ごめんなさい、バイトの帰りにたまたま見つけちゃって」
「夜出歩くなっつったべ？」
「バイトのシフトだもん」
「ったく・・・今日は家まで送ってやっから、サツがどっか行くまでここで待つぞ」
怒ってる口調なのに、言ってることは優しいんだ。
こんな状況なのに窪谷須くんと話せて喜んでいる私がいる。
あぁダメだ期待するな、私。
「族同士の喧嘩か？最近多いな〜。しかも派手だな〜ボコボコじゃねーか！」
「目撃証言によると、1対6のリンチだそうですが、これだとどっちがリンチしたかわかんないっすね」
「うわっこいつ歯折られてるよ、こえー」
警察・・・かな？
男の人の声が近づいてくる。2人いるみたいだ・・・
バレたら終わり・・・心臓が高鳴る。
私は声を出さないように口をきつく閉じた。
「・・・そこだと見えるぞ、こっちこい」
窪谷須くんが小声で耳打ちする。私は窪谷須くんに手をひかれ、後をついていく。
「！」
躓きそうになり私は声を出しかけたが窪谷須くんの手で口を塞がれ、そしてよろめいた体も支えられ、なんとかバレずにすんだ。
そのまま姿が見えないように狭い隙間に2人で入る。さっきよりも密着している分、いろんな意味でドキドキしてしまう。
さっきよりも強く感じる、血と煙草と窪谷須くんの匂い。
「ふー、撒いたか・・・」
「ごめんなさい、私、足手まといで」
「おーおーこれに懲りたら2度と俺の喧嘩現場に入ってくんな
ったく、シメた後だったから良かったものを・・・」
「ごめん・・なさい、あたしなんかが話しかけて・・・うざかったよね・・・ごめん」
「・・・！？そういう理由で話しかけんなつったんじゃねーよ、馬鹿」
今日私は何回窪谷須くんに馬鹿と言われたのだろうか。
私は馬鹿だから、窪谷須くんの考えてることなんか分かんないし、何が正解かなんて分からない。
やっぱり私は窪谷須くんに話しかけない方が良かったんじゃないか。
私は窪谷須くんから離れるように後退る。
ちょうど勢いよく背中を鉄の柱にぶつけた時だった。
ガンッ
「危ねぇ！！」
安定しない足場に未完成の鉄筋コンクリート。空から降ってきたのは・・・
ガキィィン
私の目の前が真っ赤 に染まった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 434人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あひー - (`・∀・´)ﾌｧｲﾄ! (2021年3月26日 13時) (
レス) id: c62e9bede7 (このIDを非表示/違反報告)
mayukun(プロフ) - 、さん» ありがとうございます！ただいま作成中ですのでもう少々お待ち下さい！ (2018年3月9日 7時) (レス) id: 50657492af (このIDを非表示/違反報告)
、 - この作品好きです！更新頑張ってください！亜蓮様様 (2018年3月8日 15時) (レス) id: 38612e749b (このIDを非表示/違反報告)
mayukun(プロフ) - ゆーさん» コメントありがとうございます！不器用だけど一途な窪谷須くんを表現したかったので、そう言ってもらえてめっちゃ嬉しいです(*^^*)私更新遅いのですごく申し訳ないんですが、更新頑張ろうと思えました！ありがとうございます(*^ω^*) (2018年2月28日 23時) (レス) id: 50657492af (このIDを非表示/違反報告)
ゆー - この小説、とても大好きです。窪谷須くんの不器用な感じとかすごく上手に表現してくれていて、更新が本当に楽しみです(*¨*) (2018年2月28日 22時) (レス) id: e5599beee2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：mayukun | 作成日時：2018年1月10日 22時
