酔うなよ、お姫サマ。 ページ9
「ただいまー！」
俺は元気よく玄関の扉を開けた。
本日は珍しく仕事が定時より前に終わり早めの帰宅となった。
そのためいつもは出迎えてくれるAもいない。
驚かせようと思ってわざと連絡をいれなかったのだ。
俺はネクタイを緩めながらるんるん気分で廊下を渡る。
ー今日はAといちゃいちゃしなければ！
謎の決意とともにリビングのドアを開けた。
「…え、A！？」
しかし、そこにいたのはもこもこの部屋着に身を包んで倒れている可愛いAの姿だった。
「お、おい！大丈夫かよ！？」
俺はあわててAを起こすと、へらりと笑っておかえりぃと呂律の回っていない挨拶をされる。
顔はなぜか真っ赤だ。
ーあれ？なんか元気そ？
熱で倒れた、とかではなさそうでほっとしたものの倒れていた以上、スルーはできない。
そこで俺はテーブルの上にある高級そうな箱にきづく。
ーブランデーチョコ…って酒！？
俺は勢いよく振り返ると、とろけた目をしたAを見て、全てを理解する。
ーそう、Aはめちゃくちゃ酒に弱いのだ。
「A…これアルコール入りだよ。」
俺は今にも後に倒れそうなAの背中を支えながら言った。
Aは、んぅ、とか言いながら虚ろな目をしてフラフラしてる。
ーまずい、このままじゃ。
前にも1度、Aが間違えてアルコールを摂取してしまった時があった。
ーたしかその時は…。
俺はハッとあわてて水を取りに行こうとしたが、シャツをAにくい、と引かれて逆戻りする。
ーあ、離れる作戦失敗。
にへら、と笑ったAは、上機嫌に俺の名前を呼ぶと、そのまま俺にキスをした。
Aが一生懸命するキスはつたないけど、愛しいものだった。
「…っ、ちょ、A」
しかし満足できなかったのかまた迫ってくる。
ーあー酔うとキス魔とか反則すぎ！
俺はストップをかけるが、止まらないA。
されるがままの俺の色んな所へキスしだす好き放題のA。
もう俺は全てを諦めきって、Aの小さな体をひょい、と持ち上げて、寝室へと運んだ。
Aは、ぽかんとした顔をしたが、酔っているせいか、抵抗は無かった。
俺はAが暑くなって中途半端に脱いだらしい服をそろ、と脱がせると、のぞいた鎖骨にキスをした。
首筋にキスをすると、意図せず出たAの暖かい吐息が耳にかかってぞわぞわする。
ーなんか予定より早めだけど、いいよな。
「A、今日はたっぷりいちゃいちゃしような。」
続く
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作者名：沢井 | 作成日時：2018年1月2日 15時
