おやすみ、お姫サマ。 ページ6
なぜ俺のベッドでAが寝ているのだろうか。
今日は久しぶりの1日デートで、疲れているのに、なぜか目が冴えてしまったというA。
俺は半ば呆れつつ、数分Aの背中を毛布ごしにぽんぽん、と優しく叩いた。
そのうちAが大人しくなって、可愛い寝顔が拝めたので退散したはずだった。
その後、毛布がめくられて、半分寝ていた俺の背中に感覚がして覚醒する。
「…え?Aさん?何してるんですか?」
きゅっとシャツを掴まれてしまい、振り返れず俺が視線だけ動かしてAの方を見ると、顔を全部俺の背中にうめていてまったく表情が読めない。
ーそういえばこの前、俺の側が安心するって言ってたっけ。
俺はそんなことを思い出しつつ、やばいと早くも悟る。この状況はとてもやばい。
ー色んな意味でやばすぎる。
「おーい、Aのベッドが泣くぞー。」
俺がおどけて言っても、Aはさらにぎゅっと俺のシャツを掴むだけ。
ーかわいい、どうしろってゆーんだよ。
俺は手で顔を抑えると、微かにため息を吐いた。
するとAは、自分がつかれたと勘違いしてしまったのか、手を離した。
俺は、チャンスとばかりに振り返ると、Aを抱きしめた。
「…どーしたってゆーんだよ、俺のお姫サマは。」
俺が優しく声をかけると、Aは、ぴく、と反応した後、俺の手から逃れようとした。
それに内心しょんぼりしながら、ほどいてやると、Aは突然、俺の目の前へ来て、ちゅ、と控えめにキスをした。
「え?は?」
俺は情けなく動揺したが、致し方ない、Aからされるキスなんてレアすぎるのだ。
赤面が止まらない俺に。
ちょっとほっぺの赤いAはそのまま俺の耳元に口を持っていくと、さらにキスをした。
さっきより響くリップ音に心臓が高まるが、このまま、女の子に攻められては男が廃ると、Aを剥がして、Aの額にこれでもかというほどキスをおとす。
Aは、不服とでも言いたげにまた耳元へ、唇をもっていくと、色目かしい声でささやいた。
ーおやすみのちゅー、してないよ。
俺はAがぐずった理由をぱっと理解した途端に、理性のたかが外れてしまったようだ。
Aの唇に思い切りキスをした。
Aは苦しそうに胸を叩いてくるが、やめるつもりはない。
ぷはっと言って涙目で肩で息をするAに対し、息も乱れていない俺は鎖骨にキスをしつつ言い放った。
「…Aが誘ったんだからな。」
今日のおはようは?
「…おはよ、お前、猫みたいに寝るんだな」
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作者名:沢井 | 作成日時:2018年1月2日 15時