10話 ページ10
Purple Side
翔太を受け入れた康二は俺たちのことも受け入れるようになった。
ただ……
｢康二、朝だよ？｣
｢…ん…｣
起こせばすぐ起きるんだけど、ベッドからは起き上がらない。
｢起き上がれない？｣
｢…｣
無言でムクリと起き上がってこちらを見る。
そう、指示がないと行動できないんだ。
こっちに来て。ご飯食べて。ここに座って。
全部言わないと康二は何もしない。
初めの頃は全く分からなくて、康二は1日中ソファに座っていたこともあったし、立ったままだってこともあった。
好きにしていいよと言っても目をうろうろ動かして呼吸が荒くなる。
亮平が言うにパニック障害の傾向があるらしい。
大介も親から喋るなとか動くななんて言われていたとしたらおかしくない行動だなんて渋い顔して言うもんだからこればかりは徐々に慣らしていくしかない。
そして困るのは、自分の事を言わないから吐くまで食べたり、急に倒れたりすること。
指示通りにしか動けないためか指示が終わるまで続けてしまう
食事もそうで限界が来ても食べ続けてしまっていた。
一旦病院に行く話も出たけど、なににも反応しなかった康二が外に出るとわかった途端に叫び声を上げて泣き出し頭を叩き終いには気絶する。そんなことがあってから外に連れ出すことをなるべくしないようにすることにした。
幸い、医療関係者が家にいる訳だから最悪の場合にも備えられるから亮平と大介頼りにはなるけど2人とも快く引き受けてくれたからありがたい。
そんな生活を続けてもうすぐ2年が経つ
過去編 Fin
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作者名：暁紫 | 作成日時：2021年3月7日 0時
