Bad Day Orange 《Ⅰ》 (ページ26)

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その声が聞きたくてページ26

*失声症

Pink side

康二の声が出なくなった。

ストレスだった。

｢康二、どう？大丈夫？｣

スタッフさんからの期待。

東京にでてきた不安。

ファンの方からの心無い言葉。

事実に尾をつけ羽をつける記者。

康二はずっと笑顔だった。

声が出なくなったあの日も

｢【大丈夫やで！さくまくんこそ大丈夫？】｣

俺の顔が泣きそうになっていたことに康二は気づいてた。

康二は優しいやつでどうしてこんなことになったのか

｢佐久間ー帰るぞー｣

康二の担当医の先生に言われたこと。

多分あまり合われない方がいい。

それでも少しでも会いたくて、無理言って毎日のように5分だけ

｢【佐久間くん、もうええよ】｣

その紙を見ている間に康二は瞳を閉じた。

康二の心の限界を俺は気づいてしまった。

｢ごめんね、康二｣

舌っ足らずな喋り方も

甘い声色で呼ぶ声も

逆をする時のあの声も

全部、もう聞けないのかもしれない。

ーENDー

リハビリ作品

短くてすみません。