感情ってなんそれ… ページ31
ふか × こじ
付き合います。
SnowManさんは芸能活動をしていない設定です。
Purple Side
｢こーじ。そんなとこにいたら寒いだろ？｣
｢んー、まぁ、そうやね｣
外は真っ白な雪が積もり、窓越しからでも冷気が入ってくるようなそんな日。
1か月前久しぶりに会った向井康二は俺の知っている向井康二ではなかった。
はっちゃけた関西人。甘えん坊で子犬。誰にでも愛される体質のこいつは跡形もなくなっていた。
今俺の目の前にいるこいつは孤独と寂しさと暗い瞳の中がただただ広がるだけだった。
喋ることも笑うこともなく、窓の外をひたすらと眺める。
｢康二。大丈夫か？｣
｢…｣
何があったのか、どうしてこんな状態になるまで頼ってくれなかったのか
言いたいことは沢山あるのに、こいつを目の前にするとこいつの事を思うと、口に出しては行けない質問な気がして喉に引っかかって声に出すことが出来なかった。
窓の外を覗く康二をゆったりと見守ること3日。
｢康二。聞きたいことがあるんだけど｣
ついに口に出すことに決めた。
｢…なん？｣
｢康二は、さ、これまで何してたんだ？｣
｢…ｯ｣
康二の顔は何も変化はなく、ただ、瞳の奥が揺れた気がした。
｢言葉にしねぇとわかんねぇよ俺｣
｢…ふっかさん…｣
｢ん？｣
｢俺を、引かんでくれる…？｣
子犬のこいつが戻ったみたいに上目遣いに膜を張った目。
｢俺がそんなことするやつに見えるか？｣
｢…見えへんね｣
康二はゆっくりと話し始めた。
これまでのことについて。
康二は大学を卒業した後、会社に就職したらしい。
ただ、その日常も長くは続かず、親が借金の肩代わりを康二にしていたことから借金取りに追われることになる。
直ぐに借金取りに捕まり、返せる額じゃないことを話すと康二のことを気に入った借金取りの上の人間に身体で払えと言われたらしかった。
その後は想像するのも臆するほどの酷い康二への扱いに俺は自然に拳に力が入った。
｢…ふっかさん、俺はね、汚れてるんよ、ふふ｣
康二は話し終えたあと笑った。
｢康二、なんで笑えんだよ…｣
｢え？｣
｢なんで、泣いたり、叫んだりしねぇんだよ！｣
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作者名：暁紫 x他1人 | 作成日時：2020年9月20日 16時
