楽屋の中 ページ17
あべ × こじ
付き合ってます。
Green Side
撮影の現場に1番に到着した俺は楽屋で勉強道具を広げた。
集中しているうちに気づけば康二以外は集まっていた。
｢めっちゃ集中してたね｣
｢舘さん来たの気づかなかった｣
｢そうなの？なんの勉強？｣
｢クイズ部のなんだけど結構難しくて…｣
｢…俺にはわかんないわw｣
サラッとした会話なのに舘さんが喋ると優雅な会話になるんだよな…
伊達さんとの会話が終わって楽屋を見渡せば各々に好きなことをしていた。
康二まだかな…
チラチラと出入り口を見ていたら次は隣にふっかが座った。
｢康二でしょ？｣
｢なんでわかったの…｣
｢そりゃああんだけチラチラ扉見てたら誰だって気づくよ｣
｢前の仕事なんだっけ｣
｢確か…バラエティーだった気がするけど｣
｢長引きてんのかな｣
｢そうなんじゃない？もう少しだよ｣
｢…うん｣
集合時間まで残り時間は後5分
針が1分進む度にまだかまだかと待ちわびていた。
ガチャッ！
｢遅れました！｣
集合時間に10分遅れて康二が到着した。
バタバタと準備してスタッフさん達にも謝りに行って、結局スタート時間の20分も押して康二はごめんっずっと謝っていた。
撮影はペアで行われて俺は奇跡的に康二とペアになった。
めっちゃテンションの沈んでいる康二をみんなに託されて楽屋に康二と二人きり。
｢康二｣
｢…あべちゃん｣
少しうるんだ瞳が俺を見つめる。
甘えたいんだけど迷惑かけた気持ちからかなかなか甘えられないっていう康二の気持ちが手に取るようにわかって少し笑ってしまった。
｢なにわろうとるん…｣
｢ん？康二が可愛くてね｣
｢…あべちゃん…ごめんなさい…｣
｢なんで？｣
康二をソファに座らせて両手を握る。
力の入った康二の手が少し震えた。
｢遅れてごめんなさい｣
｢遅れたのは康二のせいじゃないでしょ？｣
｢俺のせいやねん…ｯ｣
康二は少しずつ話してくれてバラエティー番組で空回っちゃったみたい。
伸びたのも自分のせいだって思ってて
康二のせいとかじゃないと思うんだけどね
｢康二は頑張ったんでしょ？｣
｢頑張れてないもん｣
｢頑張ったんだよ。大丈夫。｣
溢れそうになった涙を止めるようにソファに倒しながらキスをする。
甘い声が康二から漏れてふるふると開いた瞳はとろんと溶けていた。
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作者名：暁紫 x他1人 | 作成日時：2020年9月20日 16時
