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｢康二、平気か？｣
1人にするのはまずいからと俺の家に連れて帰った康二はマネージャーさんの計らいで2日間はフリーになった。
俺も偶然休みで看病するにはもってこいだ。
起きた康二は初めこそ申し訳ないと謝ってばかりいたが、今はなんだかそれ以外に思い詰めた表情をしている。
｢康二、辛かったら辛いって口に出してもいいんだぞ｣
不安げに揺れた瞳に涙がいっぱい溜まっている。
ズズｯと鼻を鳴らしたかと思えばようやく話し始めた。
｢照にぃ…最近しんどい、、お仕事たくさんもらって、全部に応えようとするのに、なんか…手が震えて、バクバク心臓言っとって、本番が怖いんよ…｣
｢みんながおることが、安心するはずなのに…よう分からんけど…、怖くてしゃあないねん…｣
力の入った康二の拳に俺の手を重ねる。
｢康二、ひとりじゃないって分かってる？｣
｢分かっとるよ…｣
｢遠慮とかしてない？｣
｢それは…｣
｢遠慮とか東京とか今までに経験してきたこととか全部をとっぱらってさ、俺たちに寄りかかってこいよ｣
甘えん坊なのに無理しいの康二には言葉にしても伝わらないことばかりで結局はみんなで康二自身に伝わるように体現しないといけない。
今だってこの俺が抱きしめてるんだぞ？
俺の胸に頭を預けて握った拳はかすかに震えている。
｢泣きたい時は思う存分泣けばいいんだよ｣
俺の言葉をきっかけに声を上げて泣いた康二は泣き終わった頃にはスッキリした顔をしていて
｢照にぃ、ありがとう｣
少し赤くなった耳を隠すように再度抱きつかれそのまま眠りに落ちた。
｢少しは兄ちゃんを頼りなよ｣
END
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作者名：暁紫 | 作成日時：2020年8月20日 18時
