Snow Orange 《Ⅰ》 (ページ32)

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Yellow Side

楽屋に入れば既に騒がしかった。

｢康二｣

その中に愛おしい相手を見つけて声をかければいつもと雰囲気の違う康二が振り返った。

｢あ！照にぃ！！お仕事お疲れ様！｣

元気な様子で近づいてくるけど…

｢あれ？今日は抱きついてこねぇの？｣

｢え、あぁ、今日はそうゆう気分やの！｣

｢そ？｣

もう化粧をしたのか少し頬が赤い康二にやっぱり違和感を覚える。

近くにいた阿部に聞いても｢ん？普通じゃない？｣なんて返されてしまった。

仕事の内容は雑誌の撮影。

撮影のペアは運がいいことに康二とだった。

｢康二！撮影行くぞー｣

ソファに座ってぼーっとしている康二に声をかける。

読んでも反応しない康二に近づいて肩を触ればパタッと俺の方に倒れてきた。

｢康二！！｣

俺の声にみんなが集まる。

撮影は中止。

康二は俺の車で帰ることになった。

｢照、ごめん。阿部も俺も翔太も実は知ってたんだよね｣

｢は？｣

｢康二がどうしても照には気づかれたくないって言うから…｣

｢康二が？｣

｢うん。心配かけたくないって言ってたよ｣

俺の背中に背負われた康二はどこまで俺に隠し事をすれば気が済むんだろう。

熱がある時ぐらい俺に迷惑かけたってそんなの迷惑だなんて思わない。

心配なんてかけて欲しいくらいなのに

いき荒く眠る康二。

そっと頭を撫でて車を出した。