あなたは聞き分けが良すぎる【めめこじ】 (ページ5)

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日々精進ページ5

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いつも康二は振り入れのあとから切羽詰まったような余裕のないようなそんな雰囲気が出だす。

もちろんおしゃべりな口は止まらないし、人に抱きつきに行くのも変わらない。

ただ、ほんの少しだけ表情が固くなる。

加入してすぐの頃、お互い余裕なんかなくてそれでも康二は俺を気遣ってくれていた。

東京と大阪の違いに焦っていたのは康二だったのに

それに気づけず甘えた俺はその時の康二を壊してしまった。

その出来事から俺は康二の表情に敏感になった。

だから分かる。今の康二はほっといたらダメやつだって。

｢康二、今日も残るの？｣

｢ん？いや、残らへんよ｣

笑ってるけど、笑ってない。

みんな気づいてる、帰った後にわざわざ戻ってきて練習してるのも。

｢ねぇ、康二。大丈夫？｣

康二の目には何が映っているのか分からない。

それぐらい真っ黒だった。

大丈夫は、禁句だったかもしれないのに言ってしまったから。

｢康二、｣

｢めめ、おれのことはきにせんでええから、ほら、みんな帰りょうるよ｣

荷物をまとめられて、そのまま押されるように部屋を出る。

みんなもぞろぞろと出てき出したけど、康二の姿はなかった。