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unhappy end(アンハッピーエンド):不幸せな終わり、ハッピーエンドの反語
「――ってことがあったんだよね」
沖矢昴先輩が私の前から姿を消して、大学にもその姿を全く見せなくなって5日目となる日曜日の午前11時。
東京で大好きなアイドルのコンサートがあるからと上京してきた高校時代からの親友、沢村 華絵相手に、米花百貨店内にあるカフェで愚痴っていた。
「何それ?週末にやむなく一緒に合コンに行く時点では何とも思っていなかった人を数日後に思いがけず好きになったけど、あっという間に連絡が取れなくなって全て終了したってこと?」
「ええ、かいつまんで言うとそうね。
それだけのことよ」
この数日のストーリーの中から、安室さんと赤井さんの話、そしていまいち昼間から友達には語りづらいシーンを全て差し引くと、ほぼそこしか残らなかった。
そしてもう、私はここで友達と笑い飛ばして先輩のことも忘れてしまいたい。
「ほんっと、Aって、恋愛運悪いよね。
これだけ自分が美人聡明なうえに、あれほど次から次に美形男子と出会うチャンスがあるにもかかわらず、全く何も実らないって一種の才能だよ、もう。
そういえば、結局、安室さんだっけ? ほら、病院に駆けつけてくれた王子様。あの人とも何の進展もなかったの?」
親友の評価は容赦ない。
あと、そんな才能はいりません。
そして、安室さんのことには触れないでほしい。
私は飲んでいたコーヒーを危うく噴き出すところだった。
「安室さんは、春にね一緒に花見に行こうー!ってところまではそれなりに悪くなかったと思うんだけど、結局その日すっぽかされて終わっちゃった。
ほんっとねー。だから絶対に恋愛しないようにしているし、周りに宣言までしているのに、全然うまくいかなくて」
「そりゃそうでしょう。恋に落ちるのなんて出合い頭の事故と変わらないんだから。
自分でコントロールできれば苦労はないわよ。
私だってジャニーズの〇〇君に一瞬で恋に落ちたんだから❤ テレビ番組で一目ぼれ」
と、華絵は幸せそうな笑顔でそう言ってカフェオレを飲む。
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作者名:まつり | 作成日時:2022年6月16日 15時