morning kiss6 ページ7
動揺を隠しきれない私の顎を持ち上げると、先輩はもう一度唇を重ね――角度を変えてさらに深い噛みつくようなキスをした。
「……やっ……」
うっかり開いてしまった歯列を割って舌が入り込んでくる。
存在さえ知らなかった官能的なキスに、めまいを覚えて縋りつくほかない私を先輩はぎゅうと抱きしめた。
「俺に合い鍵を渡した後は、誰かがこの部屋を訪ねてきても絶対に家に上げないでほしい。
それがたとえ、赤井秀一だとしても」
「赤井……しゅーいち……って、誰?」
このタイミングで赤井っていうくらいだから、あの赤井さんのフルネームだろうか。
赤井さんの下の名前を、私は知らない。
名刺に書いてあったかもしれないけれど、一度しか見てないし覚えていない。
だって、私は赤井さんのフルネームなんて知る由もないし、必要もなかった。
どうして、そんなことを先輩が知っているの?
わけがわからない。
不穏な何かを感じ取り、心臓がどきりと跳ねる。
もう、これ以上話を聞きたくなんてない。
でも、腕の中から抜け出せないし、先輩は私から目をそらさない。
ああ、赤井さんの瞳の色も緑色だった、と私はどうでもいいことを思い出す。
「FBI捜査官で、先月来葉峠で殺害されたと言われている男の名前だよ」
日本国内で死亡したとは聞いていたけれど、そんな具体的な場所まで。
っていうか、そんな近くで亡くなってたの?
赤井さん殺されたの?
ジョディさんは、業務中の事故って言ってなかった――?
短い言葉の中の情報量が多すぎて頭の中がくらくらする。
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作者名:まつり | 作成日時:2022年6月16日 15時