revive10 ページ30
「赤井さ――」
「秀一」
呼びかけた名前を即座に訂正される。
――そうだよね。昴さんのことどれほど「先輩」って呼んでも別に気にする様子もなく、ましてや名前で呼んでなんて自分から一度も言わなかったのは、本当の名前じゃなかったからか――。
呼び方には執着しない人だと思ってたけど違ったみたい。
何もかもが腑に落ちるけど、そう簡単に名前で呼べたら苦労はないよね?
ましてや――。私、赤井さんのことを実際にその人だと認識して実際に会って会話を交わしたのなんて、たぶん一度きりなんだけど。
その後電話で話したのだって――片手で数えられる程度だし。
心臓が煩く音を立てて、口から飛び出していきそうだ。
こんな時、どうしたらいいんだろう――。
困り切った顔をして身じろぎ一つできない私を、彼があまりにも愛おしい目で見ているので私は彼の耳元に唇を寄せる。
「秀一、好き」
耳に唇を寄せたのは大きな声を出すのが恥ずかしかったからだし、声が掠れたのは緊張していたせいだし、言葉足らずなのは頭が回らなかったから。
でも、彼がその後、甘くて熱い他の誰にも知られたくない二人だけの睦言が始まってしまったのは「Aが熱烈に誘ったんだから不可抗力」って言うのは――ちょっと納得できないけれど、全くもって抗うことなんてできなかった。
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作者名:まつり | 作成日時:2022年6月16日 15時